【コロナ禍が生む「嫌日外国人」】#9
安倍政権「留学生30万人計画」によって大量に流入した“偽装留学生”は、日本語学校業界にバブルを巻き起こした。学校数は急増し、東京都内では定員2000人規模のマンモス校も登場している。留学生1人から70万円の学費を取っていれば、年間14億円の収入だ。経営者はボロ儲けである。
留学生が日本語学校に在籍できるのは最長2年だ。そのため卒業後は、専門学校や大学に“進学”して出稼ぎを続けようとする。たとえ大学であっても、日本語能力や学力を全く問われず、学費さえ払えば入学できる学校も急増している。
昨年3月、東京福祉大学の留学生が1年間で約700人も「所在不明」となっていることが発覚し、国会でも問題となった。大学側は受け入れに見合う態勢を整えず、留学生側は日本語学校から進学後、学費の支払いを逃れ不法就労しようとしていた。文科省は同大学の管理責任を問題視。2019、20年度に交付する私学助成金の全額カットを決めた。
留学生を他校に取られないよう自ら専門学校を設立する日本語学校もある。筆者が取材した宇都宮市のA日本語学校もそうだ。
A校は、数年前にB専門学校を設立した。そして留学生が他校へ進学する際に必要な証明書を発行せず、B校への内部進学を強要していた。留学生を他校へ行かせず、学費を取り続けようとしてのことだ。
専門学校に対する行政の監視は、日本語学校と同様に緩い。かつては留学生を学生全体の5割以下とするよう規制があったが、「30万人計画」の影響で10年に撤廃された。その後、日本人の学生が集まらず経営難に直面する学校の間で、留学生の受け入れによって生き残りを図る動きが加速していく。文科省が昨年4月に発表した調査では、学生の9割以上が留学生という専門学校は全国に101校、全員が留学生という学校も45校あった。
B校も66人(19年5月現在)に上る学生はすべて留学生だ。今年度は内部進学の強要によって学生数が大幅に増え、1学年40人の定員の2倍以上の留学生が入学したとみられる。
■2年後に予想される争奪戦
大学の場合、定員超過には私学助成金の交付などで罰則がある。しかし専門学校には、それがない。学校の裁量で学則さえ変更すれば、いくらでも定員を増やせるのだ。
日本語学校に倣い、偽装留学生の受け入れでボロ儲けをもくろむ専門学校や大学は今後も増えていくに違いない。ただし、新型コロナウイルスの影響で、日本語学校に今春入学した留学生は大幅に減った。彼らが学校を卒業する2年後には、専門学校や大学の間で争奪戦が起きることだろう。 =つづく
(出井康博/ジャーナリスト)