留学生への証明書発行拒否は重い処分に該当する人権侵害【コロナ禍が生む「嫌日外国人」】

【コロナ禍が生む「嫌日外国人」】#11

宇都宮市のA日本語学校で発覚した、留学生に対する証明書の発行拒否問題。A校は留学生たちが希望する進学や就職を妨害し、系列の専門学校への内部進学を強要していた。発行拒否に関し、A校は筆者の取材にこう答えた。

「各種証明書の発行は在学生から請求がある場合、県学事課と入国管理局の指導の上、発行しています」

証明書を発行しなかったのは、栃木県や入管当局の指導に従ってのことだというのだ。

そこで栃木県の文書学事課に聞くと、「所管である出入国在留管理庁にお尋ねください」と回答。文部科学省はA校の所轄は「栃木県」だと述べていたが、栃木県は「入管庁」に問い合わせろと言う。こんな行政の不一致も、悪徳な学校が増え、留学生が食い物にされる要因なのである。

では、入管庁はどう考えるのか。同庁は以下の見解を示した。

「日本語教育機関が証明書類の発行を拒否した場合について、それが進学や就職のために必要な書類を発行しないなど、生徒の進路選択を妨害する行為に該当する場合には、留学告示別表第1からの抹消基準に抵触する可能性があります」

入管庁の「告示」から抹消されれば、日本語学校は留学生の受け入れができなくなる。A校は、それほどの処分に相当する人権侵害を行っていたわけだ。

■取材に慌てて証明書を発行

筆者の取材後、A校は突然、一部の留学生に対して証明書の発行を認め、慌てて火消しに走った。しかし今さら発行しても、すでに内部進学や母国への帰国を決めた留学生の人生は取り返しがつかない。

入管庁にはA校を調査し、厳しく処分する責任があるはずだ。

すでに入管当局は一度、A校の留学生の訴えを無視している。昨年11月、証明書の発行を拒否された留学生たちは、宇都宮の入管当局に助けを求めた。その際、担当者は彼らに、証明書なしでも進学できる学校を探すよう告げたという。本当であれば、とんでもない対応だ。入管庁に事実確認を求めると、「個別の案件については、回答を差し控えさせていただきます」と拒否されてしまったが、放置していい問題ではない。

A校で起きた問題は、全国の日本語学校で横行する人権侵害行為の一端に過ぎない。コロナの影響で学校経営が悪化すれば、さらに留学生が食い物になる状況が見込まれる。入管当局は、いつまで留学生たちを見殺しにし続けるつもりなのか。

(つづく)

(出井康博/ジャーナリスト)