日本では長年、「食の中国依存」が続いてきている。日本が中国に輸出した食料品の取引額は1年間(2019年)で1183億円だったが、中国から日本に輸入された食料品の取引額は8895億円に達した。 だが、厚労省が公開する「輸入食品等の食品衛生法違反事例」によると、今年1月1日~6月18日までに42件の中国産食品(食器などの器具を除く)が食品衛生法に違反していた実態がある(リスト参照)。 輸入食料品のうち最も多いのが野菜で、総量(重量ベース)の約52%を占める。消費者問題研究所代表の垣田達哉氏が指摘する。 「野菜の中には、調整品という冷凍、加熱、味付け処理をした食品も含まれます。こうした中国産の食品はスーパーで販売されるだけでなく、コンビニやファストフードなど様々な店舗の弁当や総菜、またはレストランなどの外食産業で使われます」 直接外食産業に回る中国産食品も多く、消費者が産地表示を確認しないまま注文しているケースも多い。その代表例が、野菜の輸入額で上位を占めるタマネギだ。 「中国のタマネギは、現地の加工工場で皮をむかれてから日本に輸送されて、外食産業に回ります。タマネギは安くて日持ちするうえ皮むきの手間が省けるので、外食産業から重宝されます」(同前) 5月10日、中国産の生鮮タマネギから殺虫剤「チアメトキサム」が検出されている。この先も中国からの流入は急増していくとみられる。 コロナの影響で食料品の対中輸入額は2月に前年比マイナス34%に落ち込んだが、3月にはプラス2.4%に戻した。 「中国の食品工場が本格再開し輸出量が回復すれば、さらに中国産食品が日本に流通するようになるでしょう」(同前) ある食品輸入会社の社長が語る。 「中国依存はやむを得ない部分も大きい。距離が近く、輸送に時間がかからない上、値段も安いので大量輸入しやすい」 ◆検査率は1割以下 汚染食品を水際で食い止める検疫体制の課題も浮き彫りになった。厚労省による検疫は、全国の港湾や空港の検疫所に配置されている420人の食品衛生監視員によって行なわれている。食の安全に詳しいジャーナリストの小倉正行氏が語る。 「過去に違反事例のあった食品会社の商品など一部の例外を除き、大半の輸入食品は『モニタリング検査』といって、無作為に一部を選んで検査するだけ。平成30年度の食品輸入件数は248万件で、検査件数は20万あまり。輸入食品の検査率は8.3%しかないのです。
日本では長年、「食の中国依存」が続いてきている。日本が中国に輸出した食料品の取引額は1年間(2019年)で1183億円だったが、中国から日本に輸入された食料品の取引額は8895億円に達した。
だが、厚労省が公開する「輸入食品等の食品衛生法違反事例」によると、今年1月1日~6月18日までに42件の中国産食品(食器などの器具を除く)が食品衛生法に違反していた実態がある(リスト参照)。
輸入食料品のうち最も多いのが野菜で、総量(重量ベース)の約52%を占める。消費者問題研究所代表の垣田達哉氏が指摘する。
「野菜の中には、調整品という冷凍、加熱、味付け処理をした食品も含まれます。こうした中国産の食品はスーパーで販売されるだけでなく、コンビニやファストフードなど様々な店舗の弁当や総菜、またはレストランなどの外食産業で使われます」
直接外食産業に回る中国産食品も多く、消費者が産地表示を確認しないまま注文しているケースも多い。その代表例が、野菜の輸入額で上位を占めるタマネギだ。
「中国のタマネギは、現地の加工工場で皮をむかれてから日本に輸送されて、外食産業に回ります。タマネギは安くて日持ちするうえ皮むきの手間が省けるので、外食産業から重宝されます」(同前)
5月10日、中国産の生鮮タマネギから殺虫剤「チアメトキサム」が検出されている。この先も中国からの流入は急増していくとみられる。
コロナの影響で食料品の対中輸入額は2月に前年比マイナス34%に落ち込んだが、3月にはプラス2.4%に戻した。
「中国の食品工場が本格再開し輸出量が回復すれば、さらに中国産食品が日本に流通するようになるでしょう」(同前)
ある食品輸入会社の社長が語る。
「中国依存はやむを得ない部分も大きい。距離が近く、輸送に時間がかからない上、値段も安いので大量輸入しやすい」
◆検査率は1割以下
汚染食品を水際で食い止める検疫体制の課題も浮き彫りになった。厚労省による検疫は、全国の港湾や空港の検疫所に配置されている420人の食品衛生監視員によって行なわれている。食の安全に詳しいジャーナリストの小倉正行氏が語る。
「過去に違反事例のあった食品会社の商品など一部の例外を除き、大半の輸入食品は『モニタリング検査』といって、無作為に一部を選んで検査するだけ。平成30年度の食品輸入件数は248万件で、検査件数は20万あまり。輸入食品の検査率は8.3%しかないのです。