突然、茶色い水「まさか浸水とは」 避難所はコロナ対策 岐阜・飛川氾濫

岐阜、長野両県での記録的な豪雨により、河川の流域や山間部を中心に孤立集落や住宅の浸水被害が相次いだ。岐阜県下呂市などでは一時約4000人が孤立状態に。約20万人に避難指示が出された同県内の避難所では、新型コロナウイルス対策のため、避難者の間に仕切りを設けるなどの対策が取られていた。
「過去50年に2、3回浸水被害はあったが、これほど強い雨が続いたことはなかった」。増水した飛川と支流の白川の合流地点がある岐阜県白川町河岐(かわまた)地区の永田町子さん(72)は驚いた様子で振り返った。永田さんが営む茶店には8日朝突然、茶色がかった水が流入。地下にある資材置き場が浸水したという。
同地区の白川沿いで旅館を営む河田清治さんも「飛川はすごい濁流だった」と声を震わせた。旅館は被害を免れたが、川の対岸の住宅2、3棟が床下浸水。河田さんによると、浸水した住民らは「まさか浸水するとは思わなかった」と驚いていたという。
同県下呂市では、飛川の一部が氾濫し、国道41号が崩落した。崩落や冠水などで同市保井戸地区では46世帯136人が孤立。住民の大谷克己さん(66)は「普段住民は国道を使って、別の地区に買い物に行っている。このままの状態が続くと生活への影響が大きい」と不安そうに話した。
大規模な避難指示で、県内の自治体は避難所開設の対応に追われた。下呂市金山の下原公民館には最大17世帯32人が避難。新型コロナ感染防止のため、入り口には消毒液が設置され、避難スペースには、テーブルをついたて代わりにするなどの対策が取られた。
公民館近くで、1人で暮らす中島裕子さん(78)は6日夕から避難。足が悪いことから早めに自宅を離れることを決めた。「九州の豪雨を見て早めに避難しようと思った。毎年豪雨災害があって恐ろしい」と心配そうに話した。長尾さかえさん(86)も「水はあっという間に来るから、早めに避難してよかった」と話した。
◇長野・上高地で宿泊客ら308人孤立
長野県では8日の豪雨で少なくとも16カ所で土砂崩れがあり、約400人が孤立状態となった。このうち308人は北アルプス・上高地に滞在中の宿泊客や観光施設関係者ら。地元の松本市によると、ライフラインは無事で食料もあるという。
一時は氾濫危険水位に達した木曽川。川沿いの特別養護老人ホーム「グレイスフル木曽」(木曽町福島)は氾濫に備え、7日夜に1階の入所者を2階に避難させた。熊本県球磨村で特別養護老人ホームが浸水して入所者が死亡しており、早めの避難を心掛けたという。担当者は「かなりの雨が降り、風もすごかった。エレベーターが止まると2階への避難が難しくなるので、早めに避難した」と語った。
2019年の台風19号で千曲川の堤防が決壊した長野市長沼地区。昨年に続き強い雨に見舞われた農業の下川悦夫さん(66)は「トラウマになっているので、怖さは(心の)奥底に絶えずある」と話した。【熊谷佐和子、川瀬慎一朗、黒詰拓也、島袋太輔】
鉄道、各地で一部運転見合わせ
東海地方の豪雨の影響で交通機関も乱れた。愛知環状鉄道は、愛知県豊田市鴛鴨(おしかも)町で、のり面が崩落し土砂が線路内に流入。北野桝塚―三河豊田間で終日運転を見合わせた。9日もバスによる振り替え輸送を続けるという。JR東海では、東海道、中央、高山、飯田各線の一部区間で運転を見合わせ、「しなの」「ひだ」「伊那路」の特急列車が運休した。
また中日本高速道路によると、東海北陸道で岐阜県内の一部が一時通行止めとなった。【黒尾透】