九州北部を襲った記録的な大雨で大きな被害を受けた佐賀県武雄市で、住民らが設立した民間のボランティアセンターが活躍している。8月28日の大雨から18日で3週間がたったが、ボランティアのニーズは依然大きい。武雄市社会福祉協議会が運営するボランティアセンターとは別のもう一つの受け皿として、これまでに約1700人を受け入れてきた。
センターの名称は「おもやいボランティアセンター」。地元の寺で住職をしている鈴木隆太さん(43)が「県内外から多くの人が来てくれている中で、地元のために自分たちも何かしたい」と、市民を中心に約30人で設立し、代表に就いた。社協のセンターの近くにある旧北方幼稚園を本部とし、広範囲に浸水した同市朝日町の高橋地区を拠点に7日からボランティアを受け入れている。
社協も17日現在で、約4700人のボランティアを受け入れてきた。ただ、社協は受け入れるボランティアの定員が決まっており、住民の細かなニーズに全て応えるのは難しい。住民の中には「社協に頼まず自分でやろう」という声もある。そこで、おもやいボランティアセンターが、社協からあぶれてしまったボランティアを受け入れ、住民の身近な存在としてニーズに応える役割を担う。
NGOで働いた経験のある鈴木代表の人脈で、県内外のNPO法人からも支援を受け、スコップや送風機などの資材も確保した。住民から困りごとを聞き取り、家財道具の運び出しや床下の泥出し作業などを担っている。14~16日の3連休は県外からも多くのボランティアが駆け付けた。
15日に生徒ら34人で側溝の泥出しをした福岡県立宗像高校(宗像市)の三宅竜哉校長(55)は「社協のセンターは定員がいっぱいだった。来てみないと定員を超えているか分からず、『おもやい』が団体も受け入れてくれありがたい」と喜ぶ。
16日に室内の泥掃除などを頼んだ一丸正文さん(60)は母トシ子さん(87)と2人暮らし。「自分が仕事で家を空けている時、腰の悪い母が少しずつ片付けをしていた。私たちの状況を知ったおもやいの方がボランティアを派遣してくれ、本当にありがたい」と感謝していた。
武雄市内の被害は床上浸水1033棟、床下浸水513棟に上り、被害棟数は県内最多だった。鈴木代表は「ニーズをまだ拾いきれていないところがある。要望がある限り続けたい」と話している。問い合わせは080・1500・0001。【池田美欧】