九州を中心に各地で続いている豪雨で、熊本県や福岡県など九州7県で確認された浸水などの住宅被害が、少なくとも1万808棟に上ることが毎日新聞のまとめで判明した。球磨(くま)川の氾濫で広範囲にわたって浸水した熊本県人吉(ひとよし)市や八代(やつしろ)市は、被災者が支援を受けるのに必要な罹災(りさい)証明書を早期に発行するため、浸水被害が甚大な一部地域について一括で「全壊」と認定することを検討している。
9日午後5時までの各県の被害集計と、県集計をまだ発表していない熊本県内について毎日新聞が各市町村に取材し、まとめた。
1万808棟の住宅被害のうち、床上浸水が5967棟と最も多かった。床下浸水も4402棟に上り、各地で相次いだ河川の氾濫の影響の大きさが改めて浮き彫りとなった。福岡県は大牟田市の3160棟、久留米市の716棟など計3996棟の被害を確認。大分県では日田市などで少なくとも計161棟の被害が確認された。熊本県は計6205棟だが、犠牲者が出た球磨村や津奈木(つなぎ)町などが集計中で、住宅の被害はさらに増える見込みだ。
災害の被害認定は市町村職員が家屋の状況を確認する「全棟調査」が原則だが、国は床上1・8メートル以上の浸水被害が想定される地域では地域の四隅の住宅を抽出する「サンプル調査」で被害が確認されれば、地域全体を「全壊」と認定できるとしている。地域全体が一括で「全壊」と認められれば、住民が「罹災証明書」を早期に受け取れる。被災者生活再建支援法に基づき、「全壊」には最大300万円が支給される。
人吉市は3775棟が床上浸水したが、球磨川沿いの浸水被害が甚大だった地域について一括で認定できないか検討している。八代市も351棟の床上浸水が報告されている坂本町地区の浸水被害が大きかった一部地域について一括認定する方向で検討している。
一括認定は東日本大震災後の2013年に改定された国の被害認定基準の運用指針に盛り込まれた。18年7月の西日本豪雨を巡って岡山県倉敷市が真備町地区の約3400棟を一括認定したほか、19年10月の台風19号で千曲川の堤防が決壊して広範囲で浸水した長野市が、2地区の約600棟を一括認定した。【青木絵美、井上元宏、比嘉洋】