ヘリ救助に「涙出る」 北部豪雨で被災の女性、熊本に心寄せ

2017年の九州北部豪雨の被災者が九州豪雨の被災地に思いを寄せている。福岡県朝倉市を中心に死者・行方不明者42人を出した九州北部豪雨が起きたのは3年前の7月5日。今回も1日違いの7月4日に熊本県南部で甚大な被害をもたらし、その後、九州各地に被害が広がった。梅雨末期に繰り返される水害を前に、いまだ古里に帰ることができない被災者はやりきれない思いを抱える。【青木絵美】
うきは市のアパートで仮住まいを続ける梶原みすみさん(81)は、熊本県で被災者がヘリで救助されるニュースを見て「涙が出る思いだった」とつぶやいた。自宅がある朝倉市杷木松末(はきますえ)地区の乙石集落も3年前、集落から出る川沿いの一本道が土砂と流木で寸断され孤立。自身も土砂降りの雨の中、近所の住民と励まし合い、ヘリの救助を待ったから被災者の恐怖や心細さは痛いほど分かる。
梶原さんはいま、天気さえ良ければ、うきは市から軽乗用車で40分かけて乙石集落に通う。昨年病気で亡くなった夫が建てた築60年の自宅は、川から少し離れていたこともあり幸い流されずに済んだ。愛着のある家に風を通し、近くにある畑で里芋などを育てる。ゆずこしょうを仕込むために植えた唐辛子の苗も順調に育っている。そうやって朝から夕方まで体を動かすのが日課だ。
だが、家で過ごすことができるのは日中だけに限られる。乙石など山間部にある市内の6集落91世帯は2次災害を避けるため、18年10月、被災者生活再建支援法に基づく長期避難世帯に認定された。うち4集落は今春、認定が解除され、集落内での居住や住宅再建が可能になったが、乙石と黒松の2集落は「避難経路に不安がある」として長期避難世帯に認定されたままだ。
乙石集落は土砂災害に備えて国が進める砂防堰堤(えんてい)の予定区域にもかかっており、仮に解除になったとしても近い将来完全に戻れなくなる可能性がある。
今回の大雨で、朝倉市でも筑後川沿いの原鶴温泉の一部が水につかった。梶原さんも一時、長男の家に身を寄せ、乙石集落の我が家にもなかなか行けなかった。九州豪雨の被災地では今も多くの人が避難生活を続ける。「梅雨が早く明けてもらわんと片付けもできんよね」と思いやった。