どこで起きてもおかしくない土砂災害 亀裂、地鳴り…専門家が説く予兆と備え

全国で毎年のように豪雨災害が相次いでいる。昨年10月の台風19号災害に続き、長野県内は今年も大雨被害に見舞われた。土砂崩れが発生して飯田市の男性(73)が犠牲になり、各地が通行止めとなり集落が孤立するなど被害を受けた。土砂災害から命を守るため、どのような行動が求められるのか。信州大の平松晋也教授(砂防学)に聞いた。【聞き手・小鍜冶孝志】
――今年も大雨による土砂災害が、県内各地で被害をもたらしました。
◆土砂災害には、土石流、崩壊、地滑りの3種類があり、主に大規模地震と大雨で引き起こされます。地震による土砂災害は、山の尾根部分が崩れやすいです。一方、大雨の場合は地下水が上昇し、斜面が崩れます。山の谷部分で発生しやすいとされています。
――土砂災害の予兆は何がありますか。
◆斜面や崖などに、亀裂や水の噴き出しが確認された場合、注意が必要になります。いずれも災害直前の現象です。その他にも、小石がパラパラ落ちてきたり、木と木が接し葉がこすれる音や地鳴りが聞こえたりしたら、絶対に近付かないでください。
――県土の特徴は、土砂災害の発生と関係がありますか。
◆北、南、中央の三つのアルプスに囲まれた長野県は、地形が急峻(きゅうしゅん)です。それだけ山が不安定ということになります。斜面勾配が険しいほど、土砂災害が発生しやすいと言われています。
長野は山も人も「免疫性」が弱いと思います。これまでは雨量が少なく、崩れていない山が多数あります。近年、県内も大雨被害に見舞われ、どこで土砂災害が発生してもおかしくない状況です。住民は事前の備えが求められています。
――私たちができる事前の備えには何がありますか。
◆市町村のホームページなどに掲載されている「土砂災害危険箇所」を把握する必要があります。自宅付近はもちろんですが、避難所に向かう際のルートにも災害の危険性がないか、今一度確認してほしいです。
行政側も、避難ルートをきめ細かに指示する必要があると思います。将来的には、洪水、土砂災害など災害に合わせ、避難場所を色分けすることが望ましい。住民の自助と行政努力で、本当の意味での防災・減災が達成されると思います。