子どもの自殺、調査や公表阻む学校 遺族不安あおる発言の数々

「マスコミが大騒ぎします」「家族がつらい思いをしますよ」。子どもを自殺で亡くした両親の不安をあおり、問題の公表や調査の断念を促す―。学校が「事なかれ主義」で不誠実な対応を取るケースが絶えない。遺族に寄り添ってきた関係者は「真相解明を求めて声を上げる遺族はごくわずか。問題は氷山の一角だ」と訴え、失った命から学ぶ姿勢を示すよう求めている。(共同通信=沢田和樹) ▽「マスコミがめちゃくちゃにする」 2018年8月、さいたま市立南浦和中1年の男子生徒が自ら命を絶った。母親によると、その日のうちに当時の校長が自宅を訪れ、「公にすればマスコミが告別式をめちゃくちゃにしますよ」「保護者会で遺族が説明する必要があります」と発言した。両親は校長の提案に沿い、他の生徒らへの説明を「不慮の事故」とすることに同意した。基本的な調査は自殺の事実を伏せて行われ、原因は不明とされた。 両親は、自殺前日にバドミントン部の男性顧問から母親に「男子生徒が練習を休んで外出していた」と電話があり、生徒が不安そうにしていたことや、顧問の指導が乱暴だとうわさになっていたことから、原因は顧問にあるのではないかと疑っていた。 詳しい調査を求めるか考えていた18年12月、自宅を訪れた校長は「勉強してきたことを説明する」とし、第三者委員会に言及。調査対象は地域住民に広がり「必ず(情報は)漏れる」「朝、突然報道陣が自宅を取り囲む」「写真をずるい週刊誌がネットに上げる」「(男子生徒の)妹にも調査が入る」と不安をあおった。 19年1月には、春に同校へ入学予定だった妹をサポートする意向を示しつつ、調査が始まれば「妹は置いといて(自殺した)男子生徒の方にずっといかなきゃいけないこともある」と発言。調査の対応に追われ、妹への配慮が行き届かなくなると示唆した形だ。 不安を覚えた両親は第三者委設置の要望を一度断念した。後に支援者の後押しで改めて要望し、第三者委が設けられ、今も調査は続いている。 報道で自殺の事実が明るみに出た19年7月、校長は取材に自殺当日の発言を否定した。「遺族が大ごとにしたくないと言うので『不慮の事故という方法がある』と提案しただけだ」と釈明した。 一方、第三者委の話題になった際に「写真が流出し、根も葉もないうわさが流れる」と説明したとし「座間の事件は警察が入っても抑えられず大変だったと思う。そういうのが頭にあった」と話した。生徒の自殺に関する調査と、神奈川県座間市のアパートで17年に男女9人の切断遺体が見つかった殺人事件を同列に扱っていた。
「マスコミが大騒ぎします」「家族がつらい思いをしますよ」。子どもを自殺で亡くした両親の不安をあおり、問題の公表や調査の断念を促す―。学校が「事なかれ主義」で不誠実な対応を取るケースが絶えない。遺族に寄り添ってきた関係者は「真相解明を求めて声を上げる遺族はごくわずか。問題は氷山の一角だ」と訴え、失った命から学ぶ姿勢を示すよう求めている。(共同通信=沢田和樹)
▽「マスコミがめちゃくちゃにする」
2018年8月、さいたま市立南浦和中1年の男子生徒が自ら命を絶った。母親によると、その日のうちに当時の校長が自宅を訪れ、「公にすればマスコミが告別式をめちゃくちゃにしますよ」「保護者会で遺族が説明する必要があります」と発言した。両親は校長の提案に沿い、他の生徒らへの説明を「不慮の事故」とすることに同意した。基本的な調査は自殺の事実を伏せて行われ、原因は不明とされた。
両親は、自殺前日にバドミントン部の男性顧問から母親に「男子生徒が練習を休んで外出していた」と電話があり、生徒が不安そうにしていたことや、顧問の指導が乱暴だとうわさになっていたことから、原因は顧問にあるのではないかと疑っていた。
詳しい調査を求めるか考えていた18年12月、自宅を訪れた校長は「勉強してきたことを説明する」とし、第三者委員会に言及。調査対象は地域住民に広がり「必ず(情報は)漏れる」「朝、突然報道陣が自宅を取り囲む」「写真をずるい週刊誌がネットに上げる」「(男子生徒の)妹にも調査が入る」と不安をあおった。
19年1月には、春に同校へ入学予定だった妹をサポートする意向を示しつつ、調査が始まれば「妹は置いといて(自殺した)男子生徒の方にずっといかなきゃいけないこともある」と発言。調査の対応に追われ、妹への配慮が行き届かなくなると示唆した形だ。
不安を覚えた両親は第三者委設置の要望を一度断念した。後に支援者の後押しで改めて要望し、第三者委が設けられ、今も調査は続いている。
報道で自殺の事実が明るみに出た19年7月、校長は取材に自殺当日の発言を否定した。「遺族が大ごとにしたくないと言うので『不慮の事故という方法がある』と提案しただけだ」と釈明した。
一方、第三者委の話題になった際に「写真が流出し、根も葉もないうわさが流れる」と説明したとし「座間の事件は警察が入っても抑えられず大変だったと思う。そういうのが頭にあった」と話した。生徒の自殺に関する調査と、神奈川県座間市のアパートで17年に男女9人の切断遺体が見つかった殺人事件を同列に扱っていた。