米中“総領事館抗争”激化の裏で…駐日大使1年以上不在の異常事態

米中のさや当てが激化している。

米政府が突然、テキサス州ヒューストンの中国総領事館が「スパイ行為の拠点になっている」と、閉鎖を要求。中国側も報復措置として、27日までに四川省成都市の米総領事館を閉鎖するよう通告している。

言うまでもなく、大使館や領事館は当事国間にとって外交の要だ。両国間に重大な問題が勃発すれば、大使を本国に引き揚げたり、自国に駐在している相手国の大使を呼びつけたりすることもある。当然、重要視する地域に送り込む大使の人選には、どの国も腐心する。

ところが、米国の駐日大使は、1年間にわたって不在が続いている。昨年7月、ハガティ前駐日大使が2020年の米上院選挙に出馬することを表明し、退任して本国に帰国。その後、大使はずっと空席で、首席公使のジョセフ・ヤング氏が臨時代理大使を務めている。

■何が「強固な日米同盟」だ

今年3月になって、トランプ大統領はようやく後任に保守系シンクタンク「ハドソン研究所」のケネス・ワインスタイン所長を指名すると発表したものの、コロナ禍で赴任のメドはまったく立っていない。就任に必要な上院の承認もまだ得られていない状態だ。

日本にとって唯一の同盟国である米国の駐日大使が1年以上も不在で、不都合はないのか。

元外務省国際情報局長の孫崎享氏が言う。

「たしかに異常事態ですが、日米間に外交交渉が存在しないことを物語っています。兵器の爆買いなど、米国の要求は何でも聞くし、米国が困るような抗議もしない。普通なら、同盟国の大使が1年も空席なら大騒ぎですが、この問題がほとんど報じられていないことからも、大使が不在でも困らないことが分かる。今の日本は対等に扱われておらず、トランプ大統領から安倍首相に命じれば何でも言うことを聞くから、有能な大使を置く必要はないと軽視されているのです。かつてはモンデール元副大統領ら重鎮が大使に着任していましたが、米国内でも駐日大使の地位は低下しています。秋の大統領選でトランプ大統領が敗れる可能性もあり、そうなれば駐日大使の人事も白紙になる。ワインスタイン氏は赴任しないまま年末を迎えるかもしれません」

安倍首相が誇る「日米同盟関係の強固な絆」の実態はこんなもの。対米従属の成れの果てだ。