寮生活の感染拡大防止に難しさ、松江市の高校クラスター

新型コロナウイルスのクラスター(感染者集団)が生じた松江市の私立立正大淞南高校サッカー部で、10日にサッカー部の男子生徒ら3人の感染が新たに確認された。同校での感染は生徒や教員の計91人に拡大、陽性が判明した複数のサッカー部員が県外の遠征に参加していたことも判明した。異例の規模のクラスターの発生は、大人数で共同生活する寮での感染症対策の難しさを示している。
当初は熱中症疑う
同部は全国高校サッカー選手権に18回出場している島根県内のサッカーの強豪校。県外出身者が多く、部員138人のうち122人が寮で生活している。
同校などによると、最初に感染が判明した男子部員は5日夜に38度台の発熱があった。6日に平熱に戻ったため登校したが、再び体調が悪くなり早退した。
同日には19人が次々に発症した。同校は「かなり暑く、熱中症の可能性があると思っていた」と説明。生徒に味覚障害が出たことで初めてコロナへの感染を疑い、8日のPCR検査で最初の感染が確認された。9日には自宅から通う生徒を含め生徒86人の陽性が判明したが、その時点で既に約30人が発熱や頭痛などの症状を訴えていた。
北村直樹校長は11日未明に会見し、「多大なるご心配とご迷惑をお掛けする事態を招いてしまい、深くおわびしたい」と謝罪した。
2人1部屋で生活
10日までに同校で感染が判明したのは、サッカー部の男子生徒88人と男性教員2人、野球部の男性生徒1人。このほか、同部の寮に出入りがあった70代男性や、男性の濃厚接触者3人、寮で生活していないサッカー部員1人の同居者も陽性が確認された。
同校によると、サッカー部の寮は2人1部屋で、食堂や浴室などは共同。消毒や手洗いなどの感染対策を徹底し、時間帯を分けて利用するなどの対応を取っていたが、人数の制限は設けていなかった。
部は7月23~25日に大阪府、8月3~4日に鳥取県、4~7日に香川県に対外試合で遠征に出ていた。3府県の遠征にはそれぞれ異なるメンバーが20~25人ほど参加し、学校のマイクロバスで移動した。
大阪では宿泊したが、鳥取県と香川県は日帰りだった。香川県の遠征に参加していたメンバーにも陽性者がいたという。
感染症に詳しい川村孝・京都大名誉教授(疫学)は「寮では飲食をともにし、共通のものを触る。どうしても濃厚接触になりがちだ」と指摘。寮や合宿など集団生活上の対策として、消毒の徹底を改めて訴え、部活動をする生徒らに対しては「寮に帰った後や食事の前後、寝る前の歯磨きの際などにこまめに手を洗う。当たり前のことを改めて続けてほしい」と呼びかけた。