甲子園交流試合が開幕した10日、東京・神田の居酒屋「高校野球酒場 球児園」にも高校野球ファンが戻ってきた。通常は1列に6組座っていた席を3組に減らすなど、ソーシャルディスタンスを保って営業。入店時のアルコール消毒、手すりや店内の清掃も入念に行った。
甲子園出場経験もある栃木・青藍泰斗高の野球部3年に弟がいるという男性客は「(夏の大会の)中止が決まってからは、弟もため息ばかりでした。かけてあげる言葉がなかったです」と話した。
同店は夜以外にランチ営業も行っている。午後7時以降はほぼ満席だったものの、店長の木村貴通さんは「例年は(甲子園開催中は)昼も夜も満席になるのですが、今日の昼のお客さんは6人だけでした」と肩を落とした。センバツや夏の甲子園中止の影響は大きく、売り上げは例年の7~8割減だという。
新型コロナの影響で4~5月は閉店しており、常連客からは「お店大丈夫?」と心配されたという。木村さんは「自分が飲みたい気持ちや、高校野球を応援したい気持ちとは別に店を応援してくれる声をいただいて、それはうれしかったです」と話した。
交流試合は始まったが、木村さんの胸中は複雑だ。「(お客さんに)熱心に呼びかけられない。どんどん来てくださいというような感じではないですね」ともどかしい思いを打ち明けた。(富張 萌黄)