新型コロナウイルスのクラスター(感染者集団)が発生した私立立正大淞南高(島根県松江市)のサッカー部が、7月23日から今月7日の間に大阪府と鳥取、香川各県で遠征試合を行っていたことが10日、分かった。発熱症状を訴える相手校生徒も出ている。この日、新たにサッカー部員1人と野球部員1人の感染が確認され、同校での感染者は91人に膨らんだ。
立正大淞南高と松江市によると、サッカー部は7月23~25日に大阪府、8月3~4日に鳥取県、4~7日に香川県に遠征していた。相手校関係者の中には既に発熱症状を訴える生徒も出ている。
またサッカー部が7日に市営補助競技場を使用したことも判明。同施設は8、9日に他の団体客が使用している。市は10日、施設を閉鎖して職員6人で1時間かけてグラウンド上のベンチや観覧席、更衣室、シャワーなどの消毒作業を行った。11日からは施設使用を再開する。
同校では8日に男子生徒1人の陽性が判明したが、9日に一気にサッカー部員の生徒86人と男性教員2人の感染が確認された。寮では2人1部屋で生活しているが、食事の際などは大食堂に集まる形式になっていた。寮に出入りする70代男性と、男性と同居する親族3人の陽性も明らかになった。
市によると、10日は同校生徒や職員ら120人のPCR検査を実施。同日深夜になってサッカー部員1人と野球部員1人、さらに別のサッカー部員の同居人1人が感染していたと発表した。同校全体で感染者は91人に膨らんだ。感染したサッカー部員88人のうち、82人は同じ寮で生活。他の6人は自宅から通学していた。
感染生徒のうち約40人は発熱などの症状が表れており、島根県は医療機関に入院させるとしている。無症状者は寮内で療養させ、専門家が対応に当たる。
立正大淞南高は男女共学のスポーツ強豪校。特にサッカー部は全国高校選手権出場18回を数える名門で、1997年に日本代表を初のW杯に導いた岡野雅行氏(48)もOB。新たに感染者が出た野球部も今夏の代替大会で県準優勝するなど強豪として知られるが、寮は各部で別棟に分かれているという。
同校の北村直樹校長は11日未明に会見し「多大なるご心配とご迷惑をお掛けする事態を招いてしまい、深くおわび申し上げる」と謝罪した。