全日本建設運輸連帯労働組合関西地区生コン支部(関生支部)の執行委員長らが恐喝容疑などで京都府警や滋賀県警などに逮捕、起訴されている一連の事件について、組合と役員らが国や京都府、滋賀県などを相手に起こした国家賠償請求訴訟の第1回口頭弁論が21日、東京地裁で開かれた。
関生支部は労組法の適格組合。ストライキなどの労働組合活動を行う資格があるにもかかわらず、こうした活動について不当な捜査や取り調べ、600日を超えるような長期勾留が行われたとして、今年3月に提訴。関生支部の武建一委員長ら原告5人と代理人の弁護士が意見陳述した。
海渡雄一弁護士は、ビラ配りや建設現場の違法行為を指摘する取り組み、ストライキが威力業務妨害や恐喝未遂とされたことについて「憲法と労働組合法が認めた正当な労組活動に対する、国家機関の不当な支配介入だ」と指摘。
再逮捕がくり返され、役員らに300~600日以上の長期勾留を認めた裁判所には、産業別労働組合と労組法への無理解と人権侵害の責任があるとして、国賠訴訟の意義を強調した。
武建一委員長は関生支部が中小の生コン業者団体と協力関係を築いて生コンの品質向上や粗悪品の安売り競争防止に取り組んだり、業界統一の賃金や福祉を実現してきた経緯を力説。こうした取り組みがゼネコンなどから反発を受けたと語り、「労働協約にに基づく労組活動が犯罪とされた。憲法が空洞化する事件だ」と訴えた。
刑事事件の被告として武委員長ら原告に「組合事務所への出入り」「組合関係者に接触禁止」などの保釈条件が課されていることについても「仕事ができない。組合活動の停滞を狙った不当な措置で、認めている裁判所も加担している」と批判した。
300日以上勾留された西山直洋執行委員は滋賀県警の取り調べで捜査官が事件の内容に触れず「君たち労働組合はやり過ぎだ」などと発言したことを紹介し、「労働組合の正当な活動に対する逮捕権の乱用だ」と訴えた。
一方、京都府や滋賀県は東京地裁に提出した答弁書で認否には触れず、事件の京都地裁への移送を主張。裁判長は被告(国、各府県)に対し「訴状への認否をしてもらいたい」と促す一幕もあった。
原告弁護団は「原告は京都地裁を信用していない。司法の信頼のためにも東京で審理を続けてもらいたい」と釘を刺した。
一連の事件では、関生支部の組合員が滋賀県内の建設工事を巡り、支部と協定を結んでいる生コン業者から生コンの供給を受けるよう求めたことを強要未遂として滋賀県警が武委員長を逮捕して以来、京都や大阪、和歌山の各府県警にのべ89人が逮捕された。
これに対し、国内の労働法の専門家78人が「人権の一角である労働基本権を無視した法執行で、見過ごせない」として昨年12月に抗議声明を出している。