海の森水上競技場には腐ったタマネギのような臭いが漂う【もはや開催絶望 東京五輪の施設は今】

【もはや開催絶望 東京五輪の施設は今】#7

「新国立競技場問題」が沸騰していた2015年ごろから多くの批判が寄せられていた施設の一つが、ボート競技などの会場「海の森水上競技場」だ。

筆者もこの会場のあり方に大きな疑問を持ち、1964年の前回東京五輪会場だった戸田ボートレース場の拡張や、その近隣の人工湖「彩湖」の活用、千葉・手賀沼の活用を提案した。都知事就任直後の小池百合子氏も、復興五輪をキャッチフレーズに東北・宮城県の長沼ボート場の利用を提案したように、「海の森」は会場として難があることは多くの都庁関係者や競技関係者が意識していた。

8月上旬、筆者が現地を歩くと、やはり問題が山積していることが分かった。会場は閉鎖管理されており、敷地内には入れなかった。そのため、周辺の道路から柵越しに会場を眺めた。

アスファルトの照り返しを受け、気温は36度超という暑さ。ボートコースの水面はキラキラと光り、観客席も真新しい。しかし、日光を遮る屋根が観客席の一部にしかかかっていないのは疑問である。もし、来年8月に五輪を実施したら、熱中症患者が続出するのではないか。大会延期後の今こそ、観客を入れたモニター調査やさらなる“暑さ対策”を検討すべきだが、どうなっているのか……。

また、現地では磯の香りとは違うすえた臭いが漂っていたことも気になった。腐ったタマネギに化学物質が混ざったような臭いだ。「海の森」は1973年から87年までに東京湾の中央防波堤として、約1230万トンのゴミや建設発生土によって造られた埋め立て地。07年から植樹が始まったが、公園としての完成までに30年かかる計画で、いまだに工事中だ。

埋め立て地の宿命だが、長い間に積み重ねられたゴミからはメタンガスが発生する。そのため、いまだに複数のガス抜きパイプが地面に突き刺さっている。筆者が感じた臭いとガスの関係は不明だ。

都港湾局臨海開発部は、「(可燃性ガスが爆発を起こす)爆発下限値や労働安全衛生規則上、メタンガスは問題ない範囲に抑えられている」とした。

■風が吹けば競技不能の恐れも

しかし、「海の森」はボートだけでなく、馬術クロスカントリー競技も予定されている。馬は人間の1000倍の嗅覚があり、臭いに敏感な動物だ。ガスや臭気が抜け切れず異臭が残っているのだとしたら、対策は必須だ。

また、ここは陸地から離れ、海に飛び出した場所で周囲に建築物や雑木林など風を遮るものがない。当然ながら気候や波の影響をモロに受けることが予想される。真夏の猛暑はもとより、風が吹けば水面はすぐに波立ち競技不能になる恐れもある。また、大会後にボート競技場として一般開放するには都心から離れすぎだ。交通機関もなく、周囲には商業エリアも何もない。文字どおり「陸の孤島……」いや、いまだに「東京湾の海の孤島」なのだ。

改めて対策を検討すべきではないか。

(森山高至/建築エコノミスト)