上司から「ボーナスもらえると思うな」 遺族、パワハラ自殺訴え 山形

ガスや石油製品などを販売する「橋本産業」(東京都)の山形営業所(山形市)に勤めていた男性従業員(当時51歳)が自殺したのは、上司のパワーハラスメントが原因だったとして、遺族が上司と同社を相手取り、計約1億円の損害賠償を求めた訴訟を山形地裁(貝原信之裁判長)に起こし、25日、第1回口頭弁論があった。被告側は「パワハラは認められない」などとする答弁書を提出し、請求の棄却を求めた。【日高七海】
訴状などによると、男性は1985年に同社に入社し、同営業所に勤務。2012年6月ごろから同営業所の所長から、他の従業員の前で「お前には人望がない」などと叱責されるようになった。17年6月ごろから叱責は日常化し、「課長らしく仕事しろ」「ボーナスもらえると思うなよ」などと怒鳴られたり、何度も営業日誌を書き直させられたりしたという。男性は体調不良となり、18年3月に実家の小屋で自殺した。
これに対し、閉廷後、報道陣の取材に応じた男性上司の代理人弁護士は「今後、主張を整理する中で判断していく」と話した。
遺族は同年5月、山形労働基準監督署に労災を申請。同労基署は同年11月に上司の叱責によってうつ病を発症し、自殺したことなどを認めた。
妻「事実が知りたい」
閉廷後に原告側の弁護団が山形市内で記者会見し、亡くなった男性の妻の大場記世さん(40)も夫の遺影を手に出席した。大場さんは「所長との間で何があったのか。事実が知りたい」と訴えた。
大場さんの夫の紀一さんは、自ら命を絶った朝、大場さんと「おはよう」と互いに声を掛け合い、寝ていた娘の横を通って自宅を出た。大場さんは「一番近くに居た自分のふがいなさに『何で夫の気持ちに気づけなかったのか』と自分を強く責め、悲しみより、恐怖しかありません」と述べた。
大場さんは亡くなった夫の気持ちを代弁できるのは自分しかいないと提訴を決断。会社側は争う姿勢を示しているが、大場さんは「会社は反省し、まじめに働く社員が評価される職場にしてほしい。それが命を懸けて夫が訴えたことです」。弁護団の土田文子弁護士は「同じことを起こさないためにも裁判をしていきたい」と話した。【日高七海】