9月に閉店する大阪・新世界の老舗フグ料理店「づぼらや」(大阪市浪速区)の立体看板「ふぐちょうちん」について、近くのレジャー施設「スパワールド」の運営会社が引き取り、地元で展示する意向を示していることが、同社への取材で判明した。看板は長年、大阪の観光名物として親しまれており、閉店後の行方が注目されている。同社は近く、づぼらや側に打診する方針だ。
スパワールドは1997年の開業で、温泉やプール、ホテルなどを備えた総合レジャー施設。看板のある「づぼらや新世界本店」の南約100メートルにあり、年間100万人以上が訪れる人気スポットになっている。
運営する不動産開発会社「阪神住建」(大阪市福島区)は、づぼらやの閉店が表面化した6月以降、立体看板を地元に残すため、同社で引き取ることを検討。実現した場合、スパワールドの2階入り口前にある広場などに設置する構想だ。広場は利用者以外も通行できるため、通天閣をバックにしたおなじみの光景が残ることになる。
違法状態も解消へ
立体看板は全長5メートル、高さ3・5メートルと巨大で、道路に突き出る幅が1メートル以内などと定めた大阪市の道路占用許可基準に違反。市は撤去を求めているが、松井一郎市長が看板以外の形で残す可能性に言及したほか、地元でも現地保存を望む声が上がっている。
この基準は私有地には適用されないため、スパワールドに設置した場合は違法状態は解消される見通しだ。阪神住建の広田周取締役は「ふぐちょうちんと通天閣をセットで眺められる場所はうちしかないと思い、手を挙げることにした。一緒に新世界を支えてきた仲間として協力したい」と語った。一方、づぼらやを運営する松田興産の松田欧一郎社長は「まだ決まっておらず、何も言えない。地元から愛され、それだけ注目してもらえるのはありがたい」と話す。
づぼらやは1920(大正9)年創業。新型コロナウイルスの影響などで4月から臨時休業を続け、9月15日での閉店が決まっている。【澤俊太郎】