職員一斉退職の意向 兵庫・須磨の企業主導型保育所 運営見通し不透明に

神戸市須磨区の企業主導型保育所「須磨うみとやま保育園」で、事務職を除く全職員11人が8月末から9月にかけて一斉に退職する意向を示していることが明らかになった。運営会社は「早急に職員を確保し、立て直したい」としているが、安定的な運営が継続できるか不透明になっている。
同園は2019年3月に開設。定員は0~6歳の30人で、約20人が利用している。運営する合同会社「イネイト保育会」(京都市)などによると、退職する意向を示しているのは園長を含む保育士と保育補助、調理スタッフら。賞与や手当の支給などを巡って会社側と対立し、8月に入って相次いで退職届を提出したという。
園長は「賞与の内訳が不明朗で、改善を申し入れても納得のいく回答が得られなかった」と話す。同社の代表社員は「運営に制度上の不備はないが、コミュニケーションが不足していた」と説明。スタッフを確保するまで退職時期を延ばすよう、現職員と交渉しているという。長女(2)を預ける会社員女性(39)は転園先を探しているといい「保育環境が変わってしまうのが残念だが、働く人を守らない会社に不信感がある」と話す。
企業主導型保育所の手当支給に関して監査業務を担うのは、内閣府から委託された公益財団法人「児童育成協会」(東京都)で、自治体には直接的に指導する権限がない。神戸市幼保事業課は「急に休園し、預け先に困る保護者が出ないよう法人に求めている」としている。【反橋希美】