新型コロナウイルスに感染し、約20日間の入院を経て8月24日に退院した植村佳史・奈良県議(59)=自民、奈良市・山辺郡選出=が1日、同市で毎日新聞の取材に応じ、新型コロナの病状の恐ろしさや入院生活などについて語った。「発症日」を勘違いされたことで、SNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)上では多くの中傷も受けたという。【久保聡】
体のだるさで検査、陽性判明
植村県議は8月5日にPCR検査(遺伝子検査)で陽性と判明し、県総合医療センター(奈良市)に入院。3日夜の帰宅時に体のだるさを感じたが、熱はなかった。だが翌朝、熱を測ると37・6度。「念のため」にドライブスルー検査で検体を採取し、自宅で安静にした。5日朝、熱は下がったが、午前11時ごろ、保健所から電話で「残念ながら陽性でした」と伝えられた。
入院後に再び熱が上がり、39度前後が10日近く続いた。解熱剤で一時的に下がるものの、数時間で高熱に戻るという繰り返し。寒気が治まらず、夏なのに室温を30度に設定して暖房を入れた。「体力維持のため」食事はなるべく取ったが、8日に病室で食べたカレーライスは香りもせず、味もしなかった。
当然だが、病室からは一歩も出られない。洗濯は室内の洗面所でした。10日にはせきが出始める。数日後、レントゲン撮影をすると、肺に白く薄い影がかかる肺炎症状が見られ、「中等症」に。熱が下がってからも息苦しさは続いた。血液検査では肝機能の数値が大きく悪化、経過観察期間も延びた。
感染者急増で医療現場に疲労感
入院初期には看護師によるコンビニへの「買い出し」が週3回あったが、途中で2回に。感染者が県内でも急増し、同センターでも入院患者が増えた。医師や看護師の表情に疲れが見えるようになり、慌ただしさも肌で感じた。看護師は2交代制で、夜勤は夕方から翌日午前9時までの勤務。「このままだと医療崩壊するのでは」とぞっとした。
平熱が続き、肝機能の数値も改善した24日、医師から退院の許可が出た。国の基準が変わったため、発症日から10日以上入院した後はPCR検査を実施せずに退院できた。医師に尋ねると、「今は検査は必要ない。鼻腔(びくう)に残ったコロナの『残骸』でも陽性反応が出ることがある。そうすると引き続き入院になる」と説明された。
「発症日」の認識でずれ
5日の県や市の発表では、植村県議の発症日は7月28日。だが入院後の医師の診断では発熱するなどした8月3~4日が発症日となった。計約5時間にわたる保健所からの聞き取り(疫学調査)には、7月28日に事務所の「引っ越し」で多くの書類を運んだため「腰が痛くなった。しんどかった」などと伝えたという。それが「倦怠(けんたい)感」として、発症日と認識されたようだ。
そのため、7月29日~8月3日に県議会に出るなどしたことに対し、SNS上で「コロナをうつしまわってたんか」「なぜ検査を受けないの」「何だ、この県議」などと本人や家族を中傷する書き込みが相次いだ。県などの発表内容は事前に伝えられず、入院後に知った。「事前に確認してくれれば……」と悔やんだ。
新型コロナはどこからでも感染の可能性がある。どこで感染したのか分からない人もいる。保健所も多忙で「間違うこともある」。発表時、植村県議の推定感染経路は「県内感染者との接触」で、7月19日の飲食時とされた。だが、実際の発症日からはかなり遠い。完治し、議会に復帰した今も「違うと思う」とわだかまりは消えない。