「信じたくない…」土砂崩れで4人不明の宮崎・椎葉 台風10号の爪痕深く

九州全域を雲の渦の中に巻き込んだ台風10号の爪痕が明らかとなった。宮崎県椎葉村では大規模な土砂崩れが起き、4人の行方が分かっていない。離島や山間部の停電の復旧には数日かかる見通しで、運転を見合わせた鉄道網の一部も安全確認には時間がかかりそうだ。「最大級の警戒」が呼びかけられた台風の影響は長期化が懸念されている。【杣谷健太、塩月由香、平川昌範】
宮崎県椎葉村の土砂崩れ現場では7日、警察や消防団による救助活動が懸命に続けられた。土砂崩れの発生は6日夜とみられ、一夜明けた約10時間後に地元消防団が見つけた。自力で脱出した70代男性が保護されたが、まだ4人の行方が分かっておらず、地元住民らが無事を祈った。
県や村によると、土砂崩れ現場には、建設会社「相生(あいおい)組」を営む70代男性の自宅や会社事務所があった。土砂崩れは6日午後8時~8時半ごろに発生し、自宅と会社事務所をのみ込んだ。自宅にいた60代の妻、事務所にいた30代の長男と、従業員でいずれも20代の外国人男性2人の計4人の行方が分かっていない。
県によると、向かいの山が大規模に崩れ、その土砂が自宅前の村道脇に設置された落石防止のコンクリート製擁壁をも突き破っていた。村によると、一夜明けて消防団が現場を確認した時に男性は自力で土砂の中から出てきたという。男性はあばら骨が折れるなどのけがをしており、入院して治療を受けている。
気象庁によると、村では台風に伴う暖かく湿った風が流れ込んだ影響で大雨となり、6日深夜までの24時間雨量は439ミリを観測。昨年9月1カ月分の約1・8倍の雨が1日で降った計算になる。男性の自宅があった場所は土砂災害警戒区域(急傾斜地の崩壊)に指定されていた。
関係者によると、男性の会社では従業員の高齢化に伴い外国人2人を雇い始めたという。仕事で付き合いのある地元の男性(61)は「男性は2人のために寮を建て、日本語の勉強を兼ねて毎晩日記を書かせて仕事のチェックをしたり、地域の人に2人を紹介したりして面倒をみていた。2人とも会うとあいさつしてくれた。行方不明を信じたくない」と話した。
知人の男性(61)は「外国人の2人は台風の被害を逃れるために会社事務所にいたようだ。助かってほしい」。近所の女性(72)は「今朝、災害を聞きつけ現場に行った。4人が無事で早く見つかってほしい」と祈った。