絶滅の危険性があるアカウミガメの繁殖に取り組んでいる和歌山県串本町の串本海中公園センターで9月、繁殖による第3世代(ひ孫世代)の誕生が期待されている。飼育下で第3世代が生まれた場合、世界初になるという。2020年は同センターがアカウミガメの人工繁殖に成功してから25年の節目の年で、施設職員らは赤ちゃんの誕生を心待ちにしている。【山口智】
同センターは1995年、保護した野生育ちのアカウミガメによる飼育下の繁殖に世界で初めて成功し、第1世代(子世代)が誕生した。この時生まれた雌が2010年に親として産卵し、第2世代(孫世代)が誕生。これも世界で初めてだった。
今回ふ化が期待されている第3世代は、10年に誕生した第2世代の雌の卵。NPO法人日本ウミガメ協議会(大阪府枚方市)によると、飼育下で第3世代が誕生すれば、これも世界初という。
同センターなどによると、アカウミガメは成長すると甲羅の長さは70~100センチ、体重100キロ程度になる。野生の場合は産卵するまで平均40年かかるが、飼育下では栄養状態が良いため、10年で産卵に至る場合もあるという。環境省のレッドリストで、近い将来に野生での絶滅の危険性が高い「絶滅危惧ⅠB類」に指定されている。
砂浜に深さ約40センチ穴を掘り、その中に約100個の卵を産み付ける。産卵後、60日前後で一気にふ化する。ふ化する卵の割合には個体差があり、7~8割がふ化する場合もあれば、全くふ化しない場合もあるという。センター内にある人工砂浜に産み落とされた第3世代の卵は、うまくいけば9月下旬ごろにふ化するとみられる。
誕生した赤ちゃんは夜間に一斉に人工砂浜の穴から出てくるため、現在、飼育員が観察を続けている。担当する同センターの吉田徹副館長(38)は「アカウミガメの生態はよく分かっておらず、繁殖を続けることで解明につなげたい」と話している。