埼玉県内で8~9月、少なくとも約5000個の梨が盗まれた事件で、同県神川町の大畠一成さん(58)の梨農園では「新高(にいたか)」という品種の梨を収穫見込みの8割超にあたる約500個盗まれた。大畠さんは15日、毎日新聞の取材に対し「1年間苦労して育てた梨を簡単に盗んでいってしまうのは許せない」と話した。県警は窃盗容疑で捜査している。
大畠さんは9日午前5時半、収穫のため農園に向かったところ、入り口付近にある梨が盗まれていることに気がついた。「新高」の木4本から、大玉を中心に約500個が盗まれていたといい、大畠さんは同日、児玉署に被害届を出した。
梨農園では「新高」のほか「豊水」など数種類の梨を育てており、8月から収穫期を迎える。「新高」は例年、9月以降に約600~700個を収穫しているが、今季は長雨や遅霜のため不作。約580個の収穫を見込んでいたが、ほとんどが盗まれてしまった。「新高」の収穫初日の15日は約30個を収穫したが、盗難被害のため大玉はほとんどなかったという。
大畠さんは被害に遭ってから「監視強化中」と記した紙を梨農園入り口に張り出し、見回りを行うなど警戒を強めている。
新高は贈答品の予約も受け付けていたが、盗難被害のため準備できなくなり、発送を見合わせている状態だという。梨が盗まれた木の付近には割れた実が数個落ちており、大畠さんは「長雨で実が割れてしまったものは落として、大きなものばかり盗んだのだろう」と悔しさをにじませた。
埼玉県警や地元JAによると、同県内の梨の主産地である県北の神川町と上里町、県東の久喜市と白岡市の2市2町の梨農園で8~9月、少なくとも約5000個の梨(被害総額計約116万円相当)が盗まれる被害が発生している。一つの農園から約2000個もの梨が盗まれる被害もあり、地元自治体やJAは農家に注意喚起している。【平本絢子、中川友希】