「令和おじさん」のゾクッとする怪談”話 菅義偉新首相の本当の怖さとは?

菅義偉氏が自民党総裁に選出。
そんな菅氏の記事を調べていたらかなり涼しい気分になりました。まだ暑い日もあるかと思いますので皆さまにもおすそ分けをします。
題して、
『本当は怖い令和おじさん』。
令和おじさんこと菅さんはエピソードをいろいろお持ちなのだ。
「菅さんの顔を潰すわけにはいかない」ふるさと納税をめぐる“脅し”
まず私がゾクッとしたのは昨年のこの記事。
《「菅さんの顔を潰すわけにはいかない」。複数の省幹部が口をそろえるように、総務省は今年3月、「脅し」を実行に移した。》(朝日新聞2019年5月20日)
なんか物騒。
ふるさと納税をめぐって2018年に起きた「総務省の一室」の描写。じっくり読むと怖い。
《大阪府泉佐野市の阪上博則理事は、総務省の課長補佐の言葉に驚いた。
「いきなり不交付団体になりますよ」
昨年6月、東京・霞が関にある総務省の一室。ふるさと納税の返礼品を「寄付額の3割以下の地場産品」で縛る通知を守らないならば、市が受け取れる交付税を削ることもできるという趣旨だった。「脅しだ」。阪上氏はそう受け取った。》
そして冒頭のように「脅し」は実行された。
ふるさと納税は、菅氏が第1次安倍政権の総務相時代に提唱した案件。次第に返礼品競争が問題視されたが「総務省幹部」は、
「ふるさと納税が悪いのではなく、制度を悪用した自治体が悪いという構図を作った」(朝日・同)。
すべては「菅さんの顔を潰すわけにはいかない」。本当は怖い令和おじさん……。
従えば人一倍の恩義、一方で「抵抗したら干される恐怖」
菅氏は自分の意に沿わない人物は左遷させるといううわさもあったが最近「当事者」の声が載った。
『菅氏と闘った元官僚の激白「抵抗したら干される恐怖」』(朝日新聞デジタル9月11日)
元総務官僚の平嶋彰英氏は6年前、ふるさと納税を巡り菅官房長官に「返礼品の高額化」などに一定の歯止めをかける提案をしたら左遷されたと言われている。
《こうした『異例人事』は私だけではありません。だから、いまの霞が関はすっかり萎縮しています。官邸が進めようとする政策の問題点を指摘すれば、『官邸からにらまれる』『人事で飛ばされる』と多くの役人は恐怖を感じている。どの省庁も、政策の問題点や課題を官邸に上げようとしなくなっています》(平嶋彰英氏)
うわさは本当だった。
《菅さんは、自分に徹頭徹尾従った人には人一倍の恩義を感じ、恩義に報いようとする。逆にもし抵抗すれば、干すという方だと思います。これでは公正であるべき人事がネポティズム(縁故主義)になりかねません》(同)
組織自体が変わっていく様子にもゾクッとする。本当は怖い令和おじさん。
政権に太いパイプを持つ人物の復帰……NHK人事の怪
菅氏と言えばメディアとの関係でも怖い記事があったのを覚えている。こちらの記事。
『NHK、板野氏返り咲きを正式発表 関係者「首相官邸の意向」』(デジタル毎日2019年4月9日)
昨年、NHKは元専務理事の板野裕爾氏を復帰させる人事を発表。
《複数のNHK関係者は、政権に太いパイプを持つとされる板野氏の復帰は「首相官邸の意向」と明かし、NHKと政権との距離を危惧する声が上がっている。》
関係者によるとこの方は、
《政権の意向を背景に「クローズアップ現代」の国谷裕子キャスターの降板を主導するなど、放送番組への介入を繰り返したとされる。》
ギョッとする内容がふつうに書かれていて怖い。
『 変容するNHK 』(川本裕司)という本を読むと国谷キャスターの降板で何があったのか詳しい。
《かねて伏線はあった。それが明確になったのは、14年7月3日、集団的自衛権の行使容認をテーマにしたクロ現に菅義偉官房長官が出演したときの出来事だった。菅長官の発言に対し「しかし」と食い下がったり、番組最後の質問が終了直前だったことで菅長官の言葉が尻切れトンボに終わったりしたため、菅長官周辺が「なぜ、あんな聞き方をする。『しかし』が多すぎる」とNHK側に文句を言った。》(P210)
ここでも出てきたのは菅氏と菅氏周辺。
著者の川本氏は、
《私が取材した限りでは、政治の側がNHKに国谷キャスターの降板を求めたという痕跡はない。権力者に遠慮しない国谷キャスターの存在を必ずしも快く思わなかったNHK上層部が政治の意向を忖度し、国谷キャスターの続投を望んだ放送現場の番組担当者の反対を押し切った結果だった。あるNHK幹部は「官邸を慮った決定なのは間違いない」と語っていた。》(P206)
意に沿わない人物を直接干すバージョンもあれば周囲が意向を忖度するバージョンもある。本当は怖い令和おじさん。
「アドリブが弱い」疑惑だって……本当は怖い!
それにしてもキャスターが時の権力者に質問してなぜ怒られなければならないのか。「なぜ、あんな聞き方をする」と言われなければならないのか。
そもそもクロ現への出演は菅氏側からの要望であったといい、
《ふつうは国谷キャスターとゲストの1対1となるのが基本だが、菅長官が出演した際は、政治部側から「記者を出させてほしい」と要望があり、政治部記者も国谷キャスターとは別の聞き手となる珍しい形式になっていた。》(P210)
おそらく、なじみの政治記者も配置することで「試合形式」は菅氏に配慮したのだろう。
読んでて思ったのだが、ここまでしてもらっても本番が「不穏試合」となってしまうのは、問題はむしろ菅氏のトーク力にあるのではないだろうか。失礼ながらそう思う。
おまけに「試合」が終わったあとに周辺がいろいろ言ってくるって……。
本当は怖い令和おじさん。本当はアドリブが弱い疑惑の令和おじさん……。

菅氏は最近の総裁選の討論でも消費税や自衛隊について不安定な発言をしている。
心配になるのはこういう方が日本の政治のトップになるという「国益」についてである。外交でトランプやプーチンや習近平らを相手にしたとき「意向を忖度」とか「周辺があとからいろいろ言う」手法は通じないはずだ。
菅氏は国内ではその指摘は当たらないという態度で済ませてきたが、首相になるからにはトークスキルをアップさせてもらわないと日本が危うい。
そういう意味でも「本当は怖い令和おじさん」なのである。
(プチ鹿島)