23日午前8時25分ごろ、福岡市地下鉄空港線の赤坂駅(同市中央区)のホームで、停車中の車両のパンタグラフ付近から火が出て、地下のホームは一時騒然となった。車両は6両編成で約400人が乗っていたが、けが人はなかった。市地下鉄の空港線と箱崎線などが運転を一時見合わせたため、地下鉄に接続するJR博多駅などにも混乱が広がり、4連休明け初日の通勤ラッシュを直撃した。
不具合が出た車両はJR九州の車両で、JR筑肥線の西唐津(佐賀県唐津市)発福岡空港行き。福岡市消防局によると、赤坂駅で前方から5両目付近のパンタグラフから出火しているのを確認。乗客にはすぐに車外に避難するよう車内アナウンスが流れ、火は間もなく消し止められた。乗り合わせた同市の女性会社員(25)は「何が起きたのか分からず、みんな途方に暮れていた」と言葉少なだった。
3両目に乗車していた同市西区の専門学校生の男性(19)は「赤坂駅で電車が急に揺れて停止し、駅員に『電車から出てください』と言われ車外に出た。車内の電気が消えたりついたりし、ホームに出ると後ろの車両から白い煙が出ているのが見えた。出てくださいと言われた時は何が起きているのか分からなかった」と驚いた様子だった。一緒に乗車していた専門学校生の女性(18)は「博多駅付近の学校まで歩いて行かなくては」と困惑していた。
赤坂駅隣の天神駅(同市中央区)では、遅延証明書を受け取ったり、運行状況を確認したりする通勤客らでごった返した。福岡空港へ向かう福岡県筑紫野市の自営業の男性(60)は「11時発東京行きのフライトなので、タクシーで行くしかない。連休明け早々災難だけど、こればかりは仕方ない」とあきらめ顔だった。駅前のタクシー乗り場には長い列ができていた。
天神駅周辺のバス停には西鉄バスの案内係が立ち、振り替え輸送でバスを使う乗客の対応に追われた。空港線で福岡空港内の店に通勤している福岡市中央区の女性(55)は「いつも赤坂駅から空港線を使っているので、どのバスに乗っていいか分からない」と係員に乗れるバスを尋ねていた。
影響は市地下鉄に接続する駅や福岡空港利用者にも広がった。JR博多駅(同市博多区)の駅改札で市地下鉄の運転見合わせを知った筑紫野市の団体職員の男性(58)は「連休明けの通勤で姪浜駅まで乗る予定だった。ひとまず上司に連絡したが、職場に迷惑をかけてしまう」と戸惑った様子。福岡空港を午前10時ごろ出発する便で東京に向かう予定の福岡市の男性会社員(63)は「午後から東京で予定もある。バスかタクシーで移動しないと」と足早に駅改札を離れた。
この車両トラブルで市地下鉄は空港線と箱崎線、JR九州は筑肥線の一部で運転を見合わせた。箱崎線、筑肥線は順次運転を再開し、空港線も午前10時過ぎに中洲川端―福岡空港で折り返し運転を始めた。【下原知広、大坪菜々美、飯田憲、江刺正嘉、青木絵美】
福岡市地下鉄で起きた近年の主なトラブル
・2019年4月、福岡空港行き列車が中洲川端駅に進入した際に煙を確認。空港、箱崎両線で約3時間運転を見合わせ、約4万2900人に影響が出た
・2017年1月、箱崎線貝塚駅の信号トラブルで同線と空港線で一時運転を見合わせ、約1万5000人に影響が出た
・2016年6月、空港線西新駅に到着した列車の扉が開かなくなり、空港、箱崎両線で22本が運休するなど約4万人に影響が出た
・2013年7月、空港線姪浜―室見間で列車の電源装置が故障して停電となり、6本が運休するなど約1万7000人に影響が出た
・2012年9月、空港線姪浜―室見間で列車の電源装置が故障。6本が運休するなど約1万6200人に影響が出た
・2010年4月、七隈線桜坂―六本松間で列車から複数の部品が落下して自動停止するなど42本が運休し、約7500人に影響が出た