群馬県が全5390頭の殺処分開始 高崎の養豚場で豚熱 風評被害に懸念

群馬県高崎市内の養豚農場で子豚3頭に豚熱(CSF)感染が確認されたことを受け、県は26日夜、この農場の全5390頭の豚の殺処分を開始した。半径10キロ圏内にある18カ所の農場についてはワクチン接種済みのため搬出制限はしないが、関係者からは風評被害を心配する声が上がっている。27日の県対策本部会議後、山本一太知事は報道陣の取材に「豚熱を食い止めることに全力を尽くす。なぜ起こったか状況を解明することが大事だ」と話した。【妹尾直道、道岡美波】
県によると、感染が確認された農場ではワクチン接種を進めていたが、感染が判明した生後約70日の子豚3頭はいずれも未接種だった。一般的に子豚は母豚から母乳を通じて抗体を得ることができるため抗体が少なくなる生後50日前後に接種するが、3頭は下痢の症状が出ていたため接種せずに様子を見ていたという。
この農場では、自農場で生まれた子豚を育てて出荷しており、外部からの豚の流入はなく、野生イノシシ防止柵などの対策も実施していた。一方、農場周辺の約5~6キロ圏内ではこれまで野生イノシシ4頭の豚熱感染が確認されている。農林水産省は疫学調査チームを派遣し、感染経路を調べている。
県養豚協会の岡部康之会長は「母親からの抗体が切れて、新たにワクチンを打つ間の感染リスクが高い状態で感染した可能性がある。現在の接種体制では1カ月の空白期間が出る場合もあり、隙間(すきま)なく接種できる体制づくりが必要だ」と指摘する。県内の飼養頭数は全国4位。「しばらくの間、群馬県産が敬遠される可能性もある」と風評被害への懸念を示した。
県は29日までに殺処分を終え、農場主の私有地に埋却する。県によると、豚熱は豚やイノシシの病気で人には感染しない。感染した肉が出回ることはなく、万一食べても人体に影響はないという。