《平成29年10月、神奈川県座間市のアパートで男女9人の切断遺体が見つかった事件で、強盗殺人や強盗強制性交殺人などの罪に問われた無職、白石隆浩被告(29)の裁判員裁判の初公判は休廷を挟んで午後3時前、検察官請求の証拠の説明から再開した》
検察官「請求証拠について内容を示します」
《立ち上がり、資料を手に説明を始める検察官。裁判員から見て左右に設置されたモニターに、捜査報告書が映し出される》
検察官「まず、死体発見の経緯について」
《検察官が、事件が発覚した10月30日、行方不明になっていた被害者Iさんを探していた警察官らが、座間市内にある白石被告のアパートを訪問した際の様子について説明する》
検察官「警察官から被害者Iさんの現在の居場所を尋ねられると、被告は『(Iさんとは)会ったその日に別れた』と答えた」
《警察官がインターホンを押し、玄関先で応じた白石被告は最初、こうはぐらかしたという。だがその後、室内に女性もののバッグがあることを認めた警察官から厳しい追及を受けた。検察官が、その時の状況を説明する》
検察官「被告は当初はうつむき加減で黙り込んでいたが、警察官が『正直に言いなさい』と述べると、『私が殺しました。逮捕してください』と話した」
《白石被告はこの間、首を左右に傾けたり、時折座りなおしてマスクを触ったりしながら、椅子に力なくもたれている。検察官が続ける》
検察官「被告は、玄関付近に置かれたクーラーボックスを示し、『あの子は、ここです』と話した。警察官は、この『あの子は』という言葉に違和感を覚えた」
《警察官が感じた「違和感」。それが、社会を震撼(しんかん)させる一連の事件が明るみに出る、最初の予兆だった》
検察官「警察官が、『ほかにも殺したのか』と聞くと、被告は『9人です』と答えた。クーラーボックスの中には目の粗い砂のようなものが箱の縁いっぱいまで詰められ、警察官がその砂のようなものを掘ると、人の頭部のようなものが見つかった」
《白石被告は首を傾けたまま、目を閉じている》
《検察官は引き続き、犯行現場の状況について説明を始める。モニターには、現場周辺の地図や室内の見取り図のほか、実況見分や現場検証で撮影された写真が次々と映し出される》
《犯行現場となったのは、木造アパートの2階、ユニットバス、ロフトつきのワンルーム。その室内に無造作に置かれたクーラーボックスやコンテナボックス、ごみ袋、衣類…写真と検察官の説明で、室内の詳細な状況が浮かび上がる》
検察官「床にはペット用のトイレシートが敷かれていた。付近には、ノコギリや粘着テープ、婦人靴。ロフトに続くはしごには、上から2段目のところに、ロープがかけられていた」
《白石被告は、被害者の殺害にロープを用いたとされる》
検察官「キッチンの包丁、まな板、鍋、室内の保冷庫の内部などから、血液の陽性反応があった」
《室内で見つかったさまざまな物品について、1枚1枚写真を示しながら、丁寧に説明を続ける検察官。白石被告は途中、両手を上げて頭の上で組み、背伸びをするように上半身を反らせた。両腕を下ろすと、肩をすくめ、再び目を閉じた》
検察官「室内にあった赤いショルダーバッグの中には、被害者Hさんの名前の書かれたポイントカードが入っていた」
《室内には、被害者らの所有品も残されていた。検察官の説明はその後、警察が押収したクーラーボックスなど7つの箱に納められた遺体の状況についての説明に移った》