2020年6月から初公判直前の9月28日まで、毎日新聞は10回、白石隆浩被告(29)と立川拘置所(東京都立川市)で面会した。白石被告との主な一問一答は以下の通り。【最上和喜】
「全て認めるつもり」
▽20年6月19日
◎白石被告は肩までかかる長髪。前回の6月16日の面会で白石被告が体調不良を訴え、中座していた。
記者 この間は具合悪そうでしたけど大丈夫でした?
白石 ありがとうございます。あれ、運動した直後で熱中症になってたみたいで……。後半ほとんど覚えてないんですよ。
記者 もう大丈夫ですか。
白石 大丈夫です。
記者 良かった。今日はいくつか質問があるんです。
白石 ええ、なんでも。
記者 (前日の)18日に公判前整理手続きがありましたよね。まだ弁護人には会えてないから内容は分かりませんよね?
白石 そうです。公判前整理手続きに私は出ていないので。
記者 でしたよね。もう日程が決まりそうだということもあって、確認したいんですけど、白石さんの弁護団は、殺人についてはいずれも被害者の同意があったということで同意殺人を主張する方針なんですよね。
白石 同意殺人についてはそうです。
記者 弁護人の主張方針は白石さんの考えと違いますよね?
白石 はい。私は全て認めるつもりなので。証言台に立たされても変わりません。だから弁護人にもこの間、「私はそういうつもりはないけど(同意殺人で)やりますよね」と言ったら「すみません、やらせてもらいます」と。そう言われたら、こっちとしても「お好きにどうぞ」って感じですよね。
記者 そろそろ裁判の期日が決まりそうですが、ここまでの道のりは長かったですか?
白石 どうなんだろう。長いような、短いような。とにかく親族にこれ以上迷惑をかけたくないので、早く決めてくれとはずっと思ってました。早く簡潔に裁判とか終わらせてほしいんですよ。もう次のことを考えてますから。
記者 普通は、死刑の可能性がある裁判を迎えることは怖いと思うのですが、白石さんはどう感じますか?
白石 いや、裁判は怖くないですよ。極刑のことも記者さんにたくさん聞かれるんですけど、もうしょうがないですよね。振り幅が大きかったら怖くなるんでしょうけど、それもないから。
記者 振り幅?
白石 例えば、1人とか2人殺してね、懲役15年か、無期か死刑かっていう状況なら私も焦ったと思います。でも警察にも検察にも弁護士にも記者にも「やった」って言ってるんです。死刑は仕方ないですよ。落ち込んでいてもしょうがない。ポジティブに考えてるんです、次を。
記者 次というと?
白石 うーん、資産管理のこととかね、あと東京拘置所に移ったら映画が見られるんですよ。楽しみですね。「ジブリ」とかめっちゃ好きなんですよ。(注・居室では、拘置所が作成したリストから選んで映画などのビデオを視聴できる機会はある)
記者 なるほど。突拍子もないことを聞きますけど、生まれ変わったらこうなりたいとか、こうしたいってありますか?
白石 金持ちになりたい(笑い)。金持ちの子供に生まれて、働く必要のない生活がしたいです。ゲームをずっとしていたいから。
記者 だいたいみんなそう思うでしょ。後悔とかはない?
白石 あー……。そうですね。スーパー(での勤務を)続けとけば良かったなあって。
記者 なぜですか?
白石 私はベーカリー部門で働いていたんですけど、楽しかったんです。毎日パンの生地をこねて、焼いて。夢にも出てくるんです。焼き上がりの甘い匂いが好きでした。スーパーを続けていたら、普通に出会いもあって結婚して家庭を持って……普通の人生を送っていたと思う。
記者 もし過去に戻れるなら何をしますか?
白石 パン焼いてる自分に、辞めんなよって言うと思います。でも辞めて、そこからどんどん転落していくんです。訪問販売とか携帯電話会社の代理店とか職を転々として、最後に行き着いたのが(女性を風俗店などに派遣する)スカウトでした。
記者 白石さんと話をしてきて、あなたはメリットとデメリットを比較できる人だと感じる。どうして殺人という極めてリスクの高い行動をとったのかが分からないんです。
白石 ああ。それは、まひしちゃってたんですよ。スカウトってね、毎日が犯罪なんです。路上で声をかけるのも犯罪だし、ソープを紹介するのも犯罪でしょ。もう、どうやったら捕まらないかということしか考えないんですよ。後悔といえば、高2の時に簿記1級を取っておけば、また人生が変わったかもしれません。落ちちゃったから。
記者 夢には家族が出てきますか?
白石 そうですね。でも被害者は出てこないんです。一度もない。ということは、幽霊とかがいないということだから、死後の世界ってないんじゃないかな。生まれ変わりの話に戻しますけど、転生するならトランプ(米大統領)の孫とかいいですね。なんでもし放題でしょ(笑い)。裁判もなあ、私は当初から全部争わないって言っていたんだから、思惑通りにいってれば、年内には終わってるはずなんですけどね。
記者 確認ですけど、前に白石さんは遺体を損壊するのは作業だったと言っていた。快楽殺人じゃない。虫を殺すのも気持ち悪いし嫌という人多いですよ。そういう行為に耐性があるということは、やっている時に気づいたんですか?
白石 そうです。普通の人はそういう行為をする時、抵抗を感じるみたいなんですけど、私にはありませんでした。快感なんてないから、神戸のサカキバラ(小学生連続殺傷事件を起こした少年)とは違うんです。必要に迫られて、そういうことができるんだと分かりました。
記者 そろそろ時間なんでまた来ます。