広島県議「当選祝いと認識」 案里被告からの30万円 弁護側主張に近い証言

2019年の参院選広島選挙区を巡る大規模買収事件で、公職選挙法違反に問われた元法相の衆院議員、河井克行被告(57)の妻で初当選した案里被告(47)の公判が2日、東京地裁(高橋康明裁判長)で開かれ、証人出廷した岡崎哲夫・広島県議(65)が、案里議員から受け取った現金30万円について「(自身の県議選の)当選祝いだと思った」と証言した。
案里議員から現金を受け取ったとされる5人のうち、これまで3人が「集票依頼だった」とする検察側の主張に沿った証言をしてきたが、今回は弁護側の主張に近い証言となった。
岡崎県議によると、県議選で自身の無投票当選が決まった翌日の3月30日、事務所で、案里議員から「おめでとうございます。二階(俊博・自民党)幹事長から預かってきました」と30万円が入った封筒を渡された。
岡崎県議は「二階幹事長からというのはブラックジョークだと思った」とし、集票依頼かと頭をよぎったが、趣旨は当選祝いと感じたという。ただ、政治資金収支報告書には記載せず、小遣いとして使ったとした。案里議員は5月10日にも自民党支部の会合で封筒を渡そうとしてきたといい、この際は集票依頼と思って受け取らなかったという。
さらに6月5日には、岡崎県議の後援会事務所で、克行議員から「20万円あるのでお使いください。大変厳しい選挙です」と封筒を渡された。集票依頼で違法と感じたが、参院選で保守分裂になって悪化した党県連との関係を再構築する意図も考えたと主張。政治資金として処理したとした。
東京地裁はこの日の公判で、地方議員ら4人の尋問を今後実施することを決めた。うち2人は東京、広島の両地裁を映像と音声でつなぐ「ビデオリンク方式」を採用する。検察側は克行議員の証人尋問も検討している。【遠山和宏】