埼玉・熊谷小4ひき逃げ死亡事件から11年 母「あきらめぬ」情報募る

埼玉県熊谷市で2009年9月、小学4年の小関孝徳さん(当時10歳)がひき逃げされて死亡した事件は、発生から11年を迎えた。母代里子(よりこ)さんは、事件後に現場を通る車のナンバー延べ約10万台分を記録し、ブログで放置車両の情報などを募ってきた。県警も動画投稿サイト「ユーチューブ」の公式チャンネルで新たに動画を公開し、情報提供を呼びかけている。【岡礼子、中川友希】
事件からちょうど11年となった9月30日。代里子さんは警察官らとともに、事件現場に近い熊谷市本石1を通る車に情報提供を求めるチラシ約500枚を配布。事件が起きた午後6時50分には「FMクマガヤ」に出演し、孝徳さんに「あきらめずに頑張るね」と、犯人捜しを続けることを改めて誓った。
9月25日に公開された県警の動画では、事故現場の見取り図や映像、孝徳さんの自転車や事故当時の衣服の写真が映し出される。また視聴者の記憶を喚起するため、09年に世間で起きた主な出来事を紹介。事故後に理由もなく急に引っ越し・転職をした人や、突然車を廃車にしたり、買い替えたりした人について情報を求めている。
代里子さんは事故直後から、現場を通る車のナンバーを記録して統計を取ってきた。現場は国道17号と市役所前を通る北大通りを結ぶ細い生活道路で、JR熊谷駅方面に向かう抜け道でもある。「犯人が初めて通ったとは考えにくい。何度も通っていたのではないか」。記録したナンバーからは「熊谷の車が一番多いが、群馬ナンバーもあり、縦方向(南北)の通行が多い」ということが分かった。
ブログには全国から「放置車両がある」「埼玉から引っ越してきたらしい車がある」といった情報が、多い時は月に約40件寄せられる。代里子さんは1件ずつナンバーを聞き、地図で場所を確認して県警に渡している。ただ、情報提供が次第に減り、特に県内の情報が少ないことに懸念も感じている。
代里子さんは「ひき逃げは過失ではなく故意。時効をなくし、犯人はたとえ捕まらなかったとしても、罪を償わなかった罰を背負い続けてほしい」と考え、全ての死亡ひき逃げ事故が危険運転致死容疑で捜査されることや、公訴時効の撤廃を、警察庁などに繰り返し嘆願している。
情報提供は熊谷署(048・526・0110)か、代里子さんのブログ(https://ameblo.jp/kosekitakanori/)。