「科学者まで監督下に置こうとする恐怖支配」 野党、学術会議問題を国会で追及へ

日本学術会議が推薦した新会員候補が任命されなかった問題で、立憲民主党など野党は7、8両日開かれる衆参両院の内閣委員会で、菅政権への追及を強める方針だ。26日召集で調整中の臨時国会前に、菅義偉首相が出席する予算委集中審議の開催を迫ることも検討する。
立憲の福山哲郎幹事長は2日、記者団に「学問の自由に対する国家権力の介入で、到底看過できない」と批判。任命拒否は1983年の国会答弁と矛盾するとみており、「違法の疑いもある。大きな問題を白日のもとにさらした」と述べ、政府に任命拒否の理由を明確に示すよう要求した。
立憲、共産、国民民主、社民の野党4党の党首は1日、学術会議を巡る問題について協力して追及する方針を申し合わせた。4党は安倍前政権のもとで、官房長官だった菅首相が掌握する人事が官僚を萎縮させ、官邸への忖度(そんたく)をまん延させたと捉えている。
共産党の志位和夫委員長は1日の記者会見で、「安倍前政権の継承」を掲げる菅首相について「今度は(官僚だけでなく)科学者まで監督下に置こうとする。恐怖支配だ。根本から今の政治は改めないといけない」と強調した。【宮原健太】
日本学術会議の会員任命を巡る経緯
1983年 日本学術会議法の改正で、会員選考方法が選挙制から学術団体による推薦制に変更
2004年 推薦する主体を日本学術会議に変更する法改正
12年 第2次安倍政権発足
16年 会員の補充人事で政府が推薦候補の差し替えを要求
18年 内閣府が日本学術会議法の解釈について内閣法制局に照会
20年 内閣府が再び法制局に照会
菅政権発足
菅義偉首相が新会員の推薦候補6人の任命を拒否