兵庫県宝塚市で6月、ボーガン(洋弓銃)で撃たれた4人が死傷した事件を受け、ボーガンを所持する全ての兵庫県民に届け出を義務付ける条例が5日、県議会で可決、成立した。違反者に5万円以下の過料を科す罰則も設けた。全面施行は12月1日。県によると、成人を含めて一律に所持を規制する条例は全国初だという。
規制の対象は、弦を引く重さが30ポンド(約13・6キロ)以上と規定。新規の購入者は14日以内に、県外から転入した所有者も30日以内に住所や名前を県に届け出る必要がある。施行前から所持している県民も、12月1日から30日以内に届け出なければならない。無届けのほか、虚偽の届け出をした場合も5万円以下の過料とする。販売業者には購入者の身分確認を義務付け、立ち入り調査を拒否すれば5万円以下の過料。
ボーガンが銃刀法の対象外であるため、県は6月、届け出の義務化を検討する有識者会議を設置。当初は条例施行後の購入者を対象にする方針だったが、7月にも神戸市でボーガンを使った殺人未遂事件が起き、全所有者への規制に切り替えた。
県は既にボーガンについて、青少年愛護条例で規制する「有害玩具類」に指定している。販売業者側に18歳未満への販売・貸与を禁止し、違反者には30万円以下の罰金や科料の罰則が設けられている。
警察庁によると、全国でボーガンを使った事件の検挙は、2010年1月~20年6月で32件。警察庁でも規制のあり方について議論を進めており、年内に報告書をまとめる。【藤顕一郎】