滋賀県甲賀市のコンビニエンスストアの女性従業員に対し、新型コロナウイルスに感染しているかのようなデマや誹謗(ひぼう)・中傷を短文投稿サイト「ツイッター」に投稿したのは名誉毀損(きそん)や偽計業務妨害の罪にあたるとして、経営者の男性らが投稿者に対する告訴状を県警に提出していたことが関係者らへの取材で分かった。
関係者が代理人を通じて提出した告訴状などによると、5月に甲賀市内のコンビニを利用した投稿者が接客に応じた女性従業員の態度に立腹。退店後、不特定多数が閲覧できるアカウントを使って「私コロナ感染してるねん、熱あるねんと言いました」と女性従業員があたかも新型コロナに感染していたかのような虚偽の情報を複数回にわたって投稿したほか、接客中の女性従業員の写真を無断で撮影し、掲載するなどした。
投稿内容には具体的な店名や、店舗への来店を控えるよう呼びかけるものもあり、経営者の男性は業務を妨害されたと主張。女性従業員は現在、精神安定剤を服用せざるを得なくなるなど深刻な症状だという。
「泣き寝入りはしたくない」経営者が心境
《コロナうつる、感染する》《ここの店には行かないで》-。根拠のないデマがインターネット上を駆けめぐり、誹謗・中傷を受けたコンビニエンスストアの女性従業員は精神的に追い詰められた。「仕事中はいつも明るく、一生懸命に頑張っていたのに。なぜここまで追い詰められなければならないのか。泣き寝入りはしたくない」。店舗の経営者の男性が産経新聞の取材に応じ、心境を語った。
「本当に店員が新型コロナウイルスに感染しているのか」。男性によると、投稿の直後から真偽を確かめようとする問い合わせの電話が店に相次いだという。
ツイッターの投稿にはデマだけでなく、《口悪いしお客さんに暴言を吐きよるし》《この女性店員には気を付けてくださいね》などと女性従業員を中傷するものもあった。「全くのでたらめ。嫌なことがあり、八つ当たりしているのだとしたらひどすぎる」と男性。
当初、気丈にふるまっていた女性従業員だが、次第に強い不安感を抱くようになり、「不安神経症」に罹患(りかん)。精神的なつらさから約1カ月仕事を休んだ。「匿名での中傷コメントは見えないところから石を投げられるのと同じ。卑劣極まりない」と怒りをにじませる。
会員制交流サイト(SNS)の発展などを背景に、関心が高まっているネット上での誹謗・中傷。全国では攻撃性の高い匿名の書き込みに対し、検挙に至った例もあるが、男性は「警察に相談したが、なかなか動いてくれない」と話す。それだけに、「泣き寝入りしている人も多いはず。誰かが問題を提起し、これがだめなことだと分かってもらいたい」と力を込める。
投稿者に対する法的措置も検討している。女性従業員は「絶対に許せない。できるところまで闘いたい」と話しているという。