職員による不適切なケアが発覚した神戸市灘区の特別養護老人ホーム「きしろ荘」で2014年、職員が女性入所者の裸の写真を撮影し、無料通信アプリ「LINE(ライン)」で同僚に送信していたことが分かった。市は「性的虐待」と認定し、施設を運営する灘区の社会福祉法人「六甲鶴寿園」に組織体制の改善を勧告していた。【反橋希美】
きしろ荘の元施設長(50)が毎日新聞の取材に明らかにした。元施設長や内部資料によると14年8~9月に2回、介護を担当する女性職員2人が、女性入所者のオムツ姿や上半身が裸の写真をそれぞれスマートフォンで撮影。画像をLINEで共有したうえで、別の職員にも画像を送ったことで発覚した。
通報を受けて監査した市は性的虐待と認定。入所者への不適切な対応を職員間で注意喚起できる相談体制の整備などを法人に勧告した。市は「事案の有無についてコメントできない」としている。
きしろ荘では20年9月、無資格の職員による「胃ろう」の処置やたんの吸引、ケアプランの未作成などが相次いで発覚。市は介護保険法に基づいて施設に監査に入っている。
元施設長は「14年の虐待事件後、夜間に見回りの宿直職員を配置するようになり、慢性的に人が足りなくなった」と証言。17年、法人に現理事長が就任してから退職者が目立ち始め、19年春ごろからは約20人が辞めるなど状況が悪化した。元施設長は20年10月5日に辞任したが、自身も1年ほど施設に泊まり込んでいたという。
また関係者によると、法人が5月に開設した特別養護老人ホーム「陽だまりの家きしろ」(灘区)の指定を申請する際、市に提出した従業員の勤務体制に関する書類で、実際には働く予定のない人の氏名を記載していたという。