「かけ子」の上役の男を逮捕 中国拠点の特殊詐欺グループ、被害1億円超

中国東北部の吉林省延吉市を拠点に、日本に向け振り込め詐欺の電話をかけたとして、警視庁捜査2課は19日、住所・職業不詳、西矢季広容疑者(44)を詐欺容疑で逮捕したと発表した。捜査関係者によると、西矢容疑者は詐欺電話をかける「かけ子」の上役で、仲間を集める「リクルーター」もしていたとみられる。同庁などは、西矢容疑者が属する詐欺グループのかけ子ら男女13人を既に逮捕しており、全容解明を進める。
西矢容疑者は17日夜、韓国・仁川空港から福岡空港に帰国したところを警視庁に逮捕された。同課によると、「身に覚えがありません」と容疑を否認している。
逮捕容疑は2018年3月、百貨店の店員になりすまし、名古屋市の70代女性に「あなた名義のクレジットカードを置いていなくなった人がいる。カードを止める手続きが必要」と電話し、全国銀行協会の職員を名乗って「新しいカードが必要。今のカードを取りに行く」などとだまし、キャッシュカード3枚をだまし取ったとしている。カードを使ってその日のうちに計150万円が引き出されていた。
同課によると、グループによる詐欺被害は17年5月~18年12月、計1億8000万円が確認されている。【佐久間一輝】
「日本を狙った詐欺グループの一つに過ぎない」警戒を強める警察当局
捜査関係者によると、中国・吉林省延吉市を拠点にした振り込め詐欺グループは複数確認されている。グループのトップに立つ中国人の男と縁の深い土地である可能性が高いといい、警視庁幹部は「今回のグループは、日本を狙った詐欺グループの一つに過ぎない」と警戒を強めている。

昨年9月には、延吉市を拠点に詐欺電話をかけていた「かけ子」の男らを大阪府警が詐欺容疑で逮捕。奈良県警も同11月、延吉市でかけ子をしていた女を詐欺容疑で逮捕している。いずれもグループのトップは異なる中国人とみられる。
同庁捜査2課によると、西矢容疑者が属するグループは、過去に日本に滞在し、日本語を話すことができる「カリスマ」と呼ばれる中国人の男を最上位に、約50人規模で活動。特殊詐欺対策を強化している中国当局の摘発を逃れるため、延吉市内のマンション一室などに拠点を分散し、一部屋1~2人で詐欺電話をかけていた。西矢容疑者の渡航歴などから、遼寧省大連市から延吉市に拠点を移した可能性もあるという。
海外に拠点を置く詐欺グループを巡っては今年3月、タイ中部パタヤの一軒家を拠点とした振り込め詐欺グループをタイ警察が摘発。警視庁はこれまでに、かけ子の管理役や支援役を含む計18人を詐欺容疑で逮捕した。タイの事件では、日本のグループが捜査の手が及びにくい海外に拠点を構えていたが、今回逮捕したグループは中国人が指示し、だまし取った金を集めていたとみられる。【佐久間一輝】