酢のような臭いの体液を発して身を守る奇虫、スムシ。鹿児島県薩摩川内市・甑(こしき)島では長らく害虫扱いされてきたが、今年8月にスムシをイメージしたポテトチップス「ビネガロン・チップス」を島内限定で約300袋販売したところ、1カ月間でほぼ完売した。酢酸とクエン酸で付けた独特な酸味に「怖い物見たさ」というスパイスも加わり、島の新名物として期待が高まっている。【降旗英峰】
スムシは体長約4センチ。外敵から攻撃された時に発するビネガー(英語で「酢」)のような臭いの体液にちなみ、ビネガロンとの別名もある。生息の北限とされる熊本県では天然記念物に指定されている。
商品化を企画したのは、島の地域おこし協力隊員、純浦(すみうら)彩さん(29)。東京芸大大学院で彫刻を専攻した純浦さんは、サソリに形状が似ていることからサソリモドキとも呼ばれるスムシの独特の形状にひかれ「島の呼び物にできないか」とビネガロン・チップスを発案。同市の食品加工会社「アトスフーズ」に製造を依頼した。
完成した商品は1袋100グラム入りで値段は540円。独特な酸味に加え、島在住のイラストレーター、新地(しんち)健郎さんがパッケージに描いたリアルなスムシのインパクトも絶大だ。純浦さんは「好き嫌いがはっきり分かれたものの、お酒のあてやサラダに良いとの声もあった」と話し、再生産を検討中。10月9~11日に東京・霞ケ関ビルディングである物産展「霞マルシェ」にも出品予定だ。次はスムシのフィギュアを販売する構想もあるという。
鹿児島昆虫同好会の塚田拓さん(51)も「奇抜でインパクトがあり、面白い味がする」と注目。「火を通せば酸味は飛び、おいしいと思う」とスムシを使った食品開発にも期待を寄せる。