500億円の財源不足どうする 京都市、2年で破綻状態? 16日から市長総括質疑

開会中の京都市議会で16日から、門川大作市長と市議が決算特別委員会で論戦を交わす「市長総括質疑」が始まる。最大の論点は、新型コロナウイルスの感染拡大で極めて厳しい状況に陥った市財政の在り方だ。市の試算で、2021年度に500億円もの財源不足が生じる見通しが判明。市は高齢者や福祉施策などで見直しを進めたい意向だが、市議会では市民サービスの低下につながるなどと批判も強い。未曽有の財政難を前に、門川氏が施策の取捨選択について市民の理解を得ながら、財政健全化への道筋を付けられるのか、姿勢が問われている。
高齢者・児童福祉サービス見直しも
市長総括質疑は春の予算案審議と、秋の決算審議の計2回あり、今回は16、19の両日に計約12時間審議される。議員が市長と一問一答形式で質疑を進め、答弁を読む代表質問とは違った論戦の舞台となっている。
今回の総括質疑で主要なテーマとなるのが、市の財政難だ。市の試算によると、コロナ禍による21年度の市税収入の減少額は19年度比で255億円。新型コロナの影響で生活保護費が10億円程度増えることなども加味し、21年度の予算編成で500億円の財源不足を見込む。仮に500億円が全て決算で「赤字」に計上されれば、京都市はわずか2年で財政破綻状態にあたる「財政再生団体」に転落することになり「これまでの次元を超えた厳しさ」(市幹部)となっているのが現状だ。
そこで市は「施策を聖域なく見直す」として、7月に有識者による審議会を設置。見直しを検討する対象として、70歳以上の市民に交付する「敬老乗車証」(20年度予算で約52億円)など、市独自で実施する高齢者・児童福祉関連のメニューが数多く挙げられた。
「福祉切り捨て」議会が批判
これに対し、市議会は共産を中心に反発を強めている。5~12日にあった市幹部への質疑で、市側は「財政再生団体になれば、全ての市独自事業が廃止される恐れがある」と理解を求めたが、共産を中心に「福祉切り捨て」と批判が集中した。
共産の加藤あい氏は「コロナ禍で困っている時に、なぜ格差を拡大することを検討するのか」と批判。市が進める市立芸大の移転(総事業費約300億円)など大型公共事業の再検討を訴えた。
与党会派の自民も、市の説明への受け止めは割れている。「打ち出の小づちはない。思い切って行財政改革を進めてもらいたい」(富喜久夫氏)と市に理解を示す意見がある一方、椋田隆知氏は「『聖域なき』と言って、京都市に人が住まなくなっては元も子もない。子供、子育てに関する予算は絶対減らしてもらっては困る」とクギを刺すなど、全面的に賛成とは言いがたい状況にある。
コンピューター改修で80億円「無駄」
今回の市議会で、市は事務処理に利用する大型汎用(はんよう)コンピューターについて、改修事業を一時中断する方針を表明。14年度から総額約100億円を投入したが、システムのトラブルで完全改修のメドが立っていない。機器購入費など約14億円以外の80億円近くは「無駄」になる恐れがあり、市議からは「遅きに失した。猛省を促したい」(富氏)と批判が続出している。
市は財政非常事態宣言を出した01年以降、財政難などを理由に職員給与を3回カットしたが、現在は正規の額に戻している。市側は「給与カットの効果は限定的だ」と慎重姿勢を見せるが、自民や維新などからは「人件費削減がないまま、市民サービス低下はあってはならない」(維新・胡内大輔氏)と見直しを求める声も強い。
9月30日、代表質問の答弁に立った門川氏は声を強めた。「不退転の決意の下、挑戦と改革に覚悟を持って取り組む」