初外遊で“中韓外し”菅首相の策謀 「南シナ海」で中国批判、ASEANと連携強化で韓国・文政権に“踏み絵”

菅義偉首相が、就任後初の外国訪問先であるベトナムとインドネシアで、精力的に外交に臨んでいる。今回の外遊では、日本企業のサプライチェーン(供給網)の多元化を進めることに加え、軍事的覇権を拡大させる中国共産党政権を牽制(けんせい)するため、日本と米国、オーストラリア、インド主導の「自由で開かれたインド太平洋」構想の実現に向けて、東南アジア諸国連合(ASEAN)内で影響力を持つ両国と連携強化を確認する狙いがある。さらに、韓国の文在寅(ムン・ジェイン)政権に対し、自由主義陣営に残るか、中国や北朝鮮の「レッドチーム」に入るか、事実上の「踏み絵」を促すという側面もありそうだ。 ◇ 「(南シナ海で)法の支配や開放性とは逆行する動きが起きている」「日本は緊張を高める行為に強く反対している」 菅義偉首相は19日、ベトナムの首都ハノイで、ASEANに対する外交方針について演説し、こう語った。 中国は国際法を無視して、世界屈指のシーレーンである南シナ海のほぼ全域を囲むように9つの線からなる「九段線」(赤い舌)を引き、「自国の領海だ」と強弁して、複数の岩礁を埋め立てて軍事拠点化してきた。 ベトナムやフィリピンは、岩礁の領有権などをめぐって中国と対立している。菅首相は名指しは避けたが、ベトナムやフィリピンの立場を支持し、中国を批判したことになる。 今回の外遊に先立ち、日本と米国、オーストラリア、インドは6日、東京で「4カ国外相会談」を開催し、「自由で開かれたインド太平洋」戦略の推進で一致した。マイク・ポンペオ米国務長官は来日中に応じたNHKのインタビューで、以下のように語った。 「これは米国vs中国という問題ではない。『自由』と『専制政治』のどちらを選ぶかの問題だ」「次の世紀が、ルールにのっとった国際的秩序による支配になるか、中国のような威圧的な全体主義国家による支配になるのか、という話だ」 こうした動きを、韓国の文政権は注視・警戒しているはずだ。 ポンペオ氏は今月来日したが、「ドナルド・トランプ大統領の新型コロナウイルス感染」を理由に訪韓はキャンセルした。自由主義諸国が連携すべき前出の構想にも、現時点で「親中・従北・反日・離米」傾向が目立つ韓国は含まれていない。 加えて、菅政権は極めて冷徹だ。 日韓間の請求権は、1965年の日韓請求権協定で「完全かつ最終的」な解決を確認している。ところが、韓国のいわゆる「元徴用工」の異常判決によって、日本企業の資産が差し押さえられている。
菅義偉首相が、就任後初の外国訪問先であるベトナムとインドネシアで、精力的に外交に臨んでいる。今回の外遊では、日本企業のサプライチェーン(供給網)の多元化を進めることに加え、軍事的覇権を拡大させる中国共産党政権を牽制(けんせい)するため、日本と米国、オーストラリア、インド主導の「自由で開かれたインド太平洋」構想の実現に向けて、東南アジア諸国連合(ASEAN)内で影響力を持つ両国と連携強化を確認する狙いがある。さらに、韓国の文在寅(ムン・ジェイン)政権に対し、自由主義陣営に残るか、中国や北朝鮮の「レッドチーム」に入るか、事実上の「踏み絵」を促すという側面もありそうだ。

「(南シナ海で)法の支配や開放性とは逆行する動きが起きている」「日本は緊張を高める行為に強く反対している」
菅義偉首相は19日、ベトナムの首都ハノイで、ASEANに対する外交方針について演説し、こう語った。
中国は国際法を無視して、世界屈指のシーレーンである南シナ海のほぼ全域を囲むように9つの線からなる「九段線」(赤い舌)を引き、「自国の領海だ」と強弁して、複数の岩礁を埋め立てて軍事拠点化してきた。
ベトナムやフィリピンは、岩礁の領有権などをめぐって中国と対立している。菅首相は名指しは避けたが、ベトナムやフィリピンの立場を支持し、中国を批判したことになる。
今回の外遊に先立ち、日本と米国、オーストラリア、インドは6日、東京で「4カ国外相会談」を開催し、「自由で開かれたインド太平洋」戦略の推進で一致した。マイク・ポンペオ米国務長官は来日中に応じたNHKのインタビューで、以下のように語った。
「これは米国vs中国という問題ではない。『自由』と『専制政治』のどちらを選ぶかの問題だ」「次の世紀が、ルールにのっとった国際的秩序による支配になるか、中国のような威圧的な全体主義国家による支配になるのか、という話だ」
こうした動きを、韓国の文政権は注視・警戒しているはずだ。
ポンペオ氏は今月来日したが、「ドナルド・トランプ大統領の新型コロナウイルス感染」を理由に訪韓はキャンセルした。自由主義諸国が連携すべき前出の構想にも、現時点で「親中・従北・反日・離米」傾向が目立つ韓国は含まれていない。
加えて、菅政権は極めて冷徹だ。
日韓間の請求権は、1965年の日韓請求権協定で「完全かつ最終的」な解決を確認している。ところが、韓国のいわゆる「元徴用工」の異常判決によって、日本企業の資産が差し押さえられている。