ハンセン病の元患者家族訴訟原告団長で、長年教師として同和教育に携わった福岡市の林力さん(96)がこのほど、福岡大学(同市城南区)で教員を目指す学生向けに自らの経験を語った。動画は11月中旬に学生が視聴する予定。
人文学部教育・臨床心理学科の科目「人権教育」を担当する入江誠剛教授が、コロナ禍に伴うオンライン講義で「差別の現実を伝えたい」と動画によるゲスト講師を依頼した。
父がハンセン病を患った林さんは「学校に行くと『お前はくされの子』となぶり言葉を浴びせられた」。鹿児島県鹿屋市の療養所「星塚敬愛園」に父が入所した後は、自宅に白衣姿の人が了解なしに上がり込み消毒していったこともあった。
訴訟は昨年、元患者家族への差別被害を指摘し国に賠償を命じた。ただ原告団でも周囲を気にして実名を明かせなかったり、関心があっても原告団に加われなかったりと対応が分かれ「それこそ差別の現実」と指摘する。
動画の収録を終えた林さんは、学生に向け「教師は人を評価することで差別しようとしていなくても差別になることがある。その感覚を持って生徒の前に立ってほしい」と語った。【青木絵美】