視聴者はシラケモード…コロナ感染者数ばかりを追い続ける情報・報道番組

コロナが一定のレベルで落ち着き、情報・報道番組の視聴率が大きくダウンしている。4月の緊急事態宣言前後は週間視聴率ランキングのトップテンに7、8番組が名前を連ねたが、先週はNHK「ニュース7」1番組になってしまった。

緊急事態宣言の4月7日の「ニュース7」は19時30分~20時に26・8%を記録し、他の番組も軒並み15%以上だった。10月19日の同番組は15・6%(19時~19時30分)が最高と10ポイント以上ダウンしている。報道では民放トップだった「報道ステーション」(テレビ朝日系)も4月9日に18・5%だったのが10月19日は12・8%と6ポイント弱のダウンだ。

どんなに「新たに○○人」「感染拡大」とあおっても、日本では新型コロナの爆発的な感染は起きていない。欧米を第2波だか第3波だかが襲い、例えば英仏のように、死者が1日当たり最多を記録している状況とは明らかに異なる。

ちなみに、再びロックダウンしたフランスでは27日に約3万3000人が感染し、523人が亡くなったが、同日の日本は感染者649人、死者5人だった。フランスの人口は6500万人で日本の約半分だから、日本と同じ人口なら感染者6万6000人、死者は1000人を超えた計算だ。感染者は100倍、死者は200倍である。

東アジアには日本以上に感染を抑え込んでいる国があるが、それでもこの差は驚愕だ。日本の外国と比べるのが好きな国民性から考えれば、テレビ局はこういう違いをもっと明確に報じてもおかしくない。小池都知事はロックダウンを叫んだが、例えばロックダウンしたフランスの惨状にどうコメントするか、聞いてもらいたいものだ。

しかし、8カ月以上も「新たに○○人」「感染拡大」をお念仏のように唱え続けたまま。視聴者はマンネリすぎてシラケているのではないか。

そろそろこんな報道姿勢を一度総括してはどうか。未知のウイルスで誤報があっただろう。「来週は感染者20万人」「国民全員PCR検査を」と声高に叫んでいた人もいたが、現実と乖離(かいり)し過ぎだ。日本の感染者は総数で約10万人だ。

ところが、テレビは総括どころか「Go To」をPRしている。どの口が言っているのかとはこのことだろう。

これからコロナがどうなるかわからないが、BPO(放送倫理・番組向上機構)はこの間のあおりまくった報道姿勢を問題視しないのか。

(峯田淳/日刊ゲンダイ)