衆院予算委員会は2日午前、菅義偉首相と全閣僚が出席して基本的質疑を実施。日本学術会議の会員任命見送り問題や改革方針をめぐって、与野党の論戦が本格化した。こうしたなか、学術会議の副会長を務める(2008年10月から3年間)など、この組織を見続けてきた東京大学の唐木英明名誉教授(78)が、夕刊フジのインタビューに応じた。「政府も学術会議も現状では不幸だ。学術会議は完全民営化して、一から出直すべきだ」と激白した。
日本学術会議は1949年、GHQ(連合国軍総司令部)内の左派勢力の支援を受け、政府機関として発足した。特定の政治勢力の影響が指摘されているが、実態はどうだったのか。
唐木氏は「(学術会議の歴史などを調べたが)発足当初から、組織の性格はほぼ決まっていたようだ。会員の基本的マインドは『左寄り』で『唯我独尊』。組織力のある政治勢力が次々と関係会員を送り込んだためだ。当然、政府からの諮問は減った。現在も、特定の政治勢力の影響が完全に切れたわけではない」と語る。
学術会議内にも、組織改革の動きがあった。
唐木氏によると、2005年に議論になったという。当時、有識者会議が学術会議に対し、「俯瞰(ふかん)的な観点から体制を変革すべきだ」「今後10年以内に、より適切な設置形態のあり方を検討する」との方針を打ち出し、学術会議も努力はしたが、10年経っても「現状維持」のままだった。
「その後、学術会議に改革機運はなくなり、かつての反体制的な組織に先祖返りしたようだ。17年に『軍事目的の科学研究を行わない』という趣旨の声明が出たのは、その表れだ」(唐木氏)
菅首相は任命見送りについて「総合的、俯瞰的(な判断)」と語っているが、学術会議の改革方針でもあったわけだ。
学術会議の梶田隆章会長は「会員の選考方法」や「情報発信力」などの検証を進めている。年内にも政府に報告する考えだが、どうなりそうか。
唐木氏は「税金が投入された政府機関が反政府的行動をするのは、政府にとって不幸だ。一方、学術会議は政府の信頼を失い、諮問を出されることもほとんどなくなった。これは学術会議にとって不幸だ。学術会議がシンクタンクとして生き残りたいのであれば、やはり民営化しかない。海外のアカデミーと肩を並べて活躍する研究者が出るのが理想であり、梶田会長の指導力にかかっている。左派野党も、任命見送りばかりではなく、学術会議のあり方を考える論戦をすべきだ」と語っている。