ススキノの酒類提供「22時まで」要請 北海道、新規感染は最多の約180人

新型コロナウイルスの感染拡大を受け、北海道は7日、歓楽街であるススキノ地区(札幌市)の飲食店に対し、27日まで営業時間を短縮することなどを求めた。応じた事業者には支援金20万円を支払う。ススキノではクラスター(感染者集団)が相次いでおり、「仕方ない」とあきらめ顔の店主も多いが、突然の時短要請に戸惑いの声も聞かれた。
「感染拡大が収まるまで待つしかない」。ススキノにある居酒屋「野武士」の店主、山本貴史さん(43)は落ち着いた様子で話した。
店の売り上げは昨年同月比で6~7割まで回復しつつあるが、今後は再び下がることが想定される。時短営業に協力すれば1回だけ20万円が支払われるものの、それだけでは従業員の給料は賄えない。「ここが踏ん張り時です」。自分に言い聞かせるように話した。
ススキノでは10月以降、キャバクラなど主に接待を伴う飲食店で17件のクラスターが発生し、感染者は道内のほぼ全域に拡大した。今月7日は市内を中心に道内187人の感染を確認、3日連続で100人を超えている。
市内のタクシー会社の役員男性(58)によれば、ススキノでクラスターが出るたびに夜の売り上げに影響が出るという。「繁忙期の12月には持ち直せるかと考えていた。(要請で)冷や水をかけられたようだ」と残念がる。
一方、時短要請に懐疑的な声もある。
市内のカラオケスナックのママは「対策していない店をまず指導すべきだ」と強調する。同店では客の検温や消毒などを徹底しているが、対策がおろそかな店も少なくないという。今はススキノ全体がひとくくりに警戒されており、「きちんと対策している店がかわいそう」と話す。
ススキノの店舗と取引がある老舗酒類卸売会社の営業部長(64)は「ススキノだけがクローズアップされているようだ。飲みに行くならススキノ以外でもリスクは同じ。(行政は)飲みに行く側にもっと注意を呼びかけてほしい」と話した。
「要請に協力しない店は多いのではないか」。こう語るのは、午前3時まで営業する焼き肉店の男性店主(44)だ。「感染が起きているのは接待を伴う店が多い。なぜ一律にススキノ全体を対象とするのか。支援金は1日に換算すればたった1万円。『協力するだけ損』と思う経営者は少なくないはずだ」と憤る。

北海道は地区内の飲食店に午後10時~午前5時の酒の提供自粛を要請し、キャバレーなど接待を伴う飲食店には同じ時間帯の営業自粛を求めた。期間は7~27日の3週間。11日までに要請に応じた事業者には支援金20万円を支払う。また、道は7日に5段階ある独自の指標「警戒ステージ」を「2」から「3」に引き上げた。
鈴木直道知事は7日の記者会見で「ススキノを守るための戦いだ。何とか3週間で減少に転じ、多くの方に来てもらう状況にしたい」と理解を求めた。
【菊地美彩、山下智恵、源馬のぞみ】