カゲロウ大量発生、一部地域に集中の謎 照明器具更新も効果なく 原因は川の水質?

京都府綾部市内の由良川に架かる橋で、9~10月の夜間に大量発生するカゲロウが交通を妨げ、道路を管理する府や市を悩ませている。照明器具の更新が対策につながると期待された今年も改善はみられず、効果的な手だてがない。調べてみると、広い由良川流域でも綾部に特有の課題という。謎の現象の原因を探った。
大量発生するカゲロウは橋の照明に集まり、車の視界を遮ったり路面に落ちた死骸がスリップを引き起こしたりする恐れがある。このため、府中丹東土木事務所や市は毎年、発生時期に七つの橋の照明を消灯してきた。
昨年、府は照明の長寿命化のため以久田橋、白瀬橋、丹波大橋、綾部大橋の4カ所を発光ダイオード(LED)に更新。LEDについて、土木学会が夜間工事に関する学術講演で「虫を引き寄せる紫外線量が低い」と発表されたことを参考に、今年は点灯を続けた。だが例年と同じように発生し、やむなく消灯した。
この現象、由良川流域でも綾部が飛び抜けて量が多い。下流の福知山市を管轄する中丹西土木事務所は「福知山も多いが、綾部のように対策を打つほどの事態になっていない」。舞鶴でも問題になっていないという。
府保健環境研究所は、地理的な条件が生息に都合が良かったと推察する。水生昆虫は水深が浅く、水質の良い場所に多く生息するため、「同じ由良川流域でも、下流に行くほど水量が多く深くなり、幼虫が住みにくいのでは」とみている。綾部市内で合流する支川からカゲロウが流れ着くとも考えられ、周辺の夜間の明かりが少ないために橋の照明に引き寄せられやすい可能性もあるという。
由良川の生態調査をする綾部高に助言をしてきた、大阪府立大の平祥和客員研究員は、発生時期や写真から全国各地で大量発生するオオシロカゲロウと断定。「幼虫は川底に潜って生活するため、砂泥がたまっているかが鍵となる」と解説する。河川の中流から下流で大量発生する傾向があり、上流域の京丹波町などでは少ないとみる。
■河川きれいなほど多種類生息 京都府「農作物害なく、対策優先できず」
カゲロウは幼虫の時期を水中で過ごし、1年で成虫になると飛び立つ。河川がきれいなほど多くの種類が住むといい、府保健環境研究所は「由良川はかなり水質が良く、水生昆虫自体が多い地域」と評価している。綾部高の分析化学部顧問の近本大作教諭も「以前に比べれば減ったものの、種類は多い」とする。水生生物の種類によって平均点数を出すBMWPスコア法では、水質が「良好~とても良好」に当たる7~8点台を維持しているという。
住民を悩ます大量発生も、由良川の清らかさの証明といえるが、なぜここまで突出しているのか。解明のめどは立っていない。同研究所は「由良川の生態調査は十数年できていないので、はっきりと言えない」とする。調査の予定も、府の組織改編を受けて中止になっている。
カゲロウは成虫になると口が退化して何も食べず、早ければ数時間のうちに死んでしまう。農作物への害もなく、病害虫として対応できないため、中丹東土木事務所は「対策に予算を付けられるほど優先順位は高くない」と困り顔だ。