海上自衛隊呉基地(広島県呉市)配備の潜水艦内で2等海尉の男性が自殺を図ったのは上官の暴力が原因として、男性の両親が国に約4400万円の損害賠償を求めた訴訟は16日、山口地裁で和解が成立した。和解内容は、国が両親に1100万円の和解金を支払い、元上官2人がその一部を負担し、両親と男性に謝罪する。また、海自は同様の事案を防ぐため再発防止措置を講じるよう努める。
山口県内に住む両親が2016年2月、山口地裁に3500万円の損害賠償を求めて提訴し、後に増額していた。訴状などによると、男性は11年7月と13年6~8月、上官2人から顔を殴られたり足を蹴られたりする暴力と暴言を複数回受けた。男性は同7月ごろにうつ病を発症し、9月に拳銃自殺を図った。男性は現在46歳で首から下にまひが残り、寝たきりの状態が続いている。
原告側弁護士によると、今年1月、山口地裁から和解を勧告された。和解金1100万円のうち、元上官の1人が120万円、もう1人が100万円を国に支払う。再発防止策は、面接などで上司が部下の異変を察知できるようにする▽潜水艦部隊の乗組員に対し3年に1回の適性検査を受検させる▽不適切な指導を防止するため繰り返し教育する――とした。
男性の母は弁護士を通じ「このような悲劇が二度と起こらないよう、国は和解で約束した再発防止の措置を組織を挙げて全力で取り組んでほしい」とのコメントを出した。
元上官2人は15年、「暴力を伴う不適切な指導があった」として停職処分を受けている。海自の山村浩海上幕僚長は「元乗員の自殺未遂事案を重く受け止め、同種事案の再発防止策を徹底していく」などとするコメントを発表した。【林大樹】