鹿児島5人殺害公判 被告「謝るつもりはない」 弁護側、「妄想性障害」主張

鹿児島県日置市の民家で2018年に家族ら男女5人が殺害された事件で、殺人と死体遺棄の罪に問われた無職、岩倉知広被告(41)の裁判員裁判の第4回公判が24日、鹿児島地裁(岩田光生裁判長)であった。初の被告人質問があり、岩倉被告は父親以外を殺害した理由を「(自分を)自滅させようとする悪質な行為に我慢ができなかった」と述べ「謝るつもりはない。因果応報だ」と話した。弁護側は、岩倉被告が「妄想性障害」を発症しており、事件当時、心神耗弱状態にあったと主張している。
この日、岩倉被告は弁護側の質問で自身が犯行に及んだ経緯を話した。岩倉被告によると、被告は02年に自衛隊を辞めてしばらくした後、誰かが自分の悪口を言っている声が聞こえるようになったという。14年に同居していた母親が被告の暴力に耐えかねて家を出て、同市のアパートで1人暮らしを始めた頃、伯父が悪口を言っている声が聞こえ、伯父が自分の悪評を周囲に広めようとしていると確信したとした。
岩倉被告は、同級生を地元から転居させて孤立させようとしたり、自分の車を故障させたりなどの嫌がらせを受けたと主張した。19日に証人出廷した70代の伯父は、岩倉被告に対する嫌がらせ行為などの有無について「想像もつかない。覚えがない」と話している。
岩倉被告は、伯父らの行動について「でたらめじゃない」と声を荒らげる場面もあった。そして、伯父の妻孝子さん(当時69歳)と孝子さんの姉坂口訓子さん(同72歳)、近所の後藤広幸さん(同47歳)も伯父に協力する一派だと考え「復讐(ふくしゅう)して一矢報いるため」殺害したと話した。
岩倉被告は、祖母久子さん(当時89歳)について、被告の母方の祖父母の悪口を言われたことについて腹を立て殴ったという。久子さん殺害は首を締めて殺したとして起訴されており、殺害の方法や殺意の有無も争点になっている。また、父正知さん(同68歳)殺害は左腕で首を絞め殺したことを認めたが、殺意を否定し「謝りたい」と話した。
12月1日の公判で結審し、判決は同月11日の予定。【白川徹】