新型コロナウイルス感染拡大に伴い、政府は24日、観光支援事業「Go To トラベル」の見直しを正式表明する。札幌市、大阪市など感染拡大地域を目的地とする旅行が対象だが、東京都の扱いも焦点となり、菅義偉首相は同日に小池百合子都知事と会談する見通し。重症者数も増え病床が逼迫(ひっぱく)する地域も出ているが、GoTo停止を拡大すれば観光産業への致命傷となりかねない。
赤羽一嘉国土交通相が同日の記者会見で見直しを表明、札幌市や大阪市などを目的地とする新規予約を一時停止し、予約済みの旅行は割引適用を無効にする方向だ。予約済みの客はキャンセル料負担がないようにして、旅行会社や宿泊施設の損害は国が補償する考え。
対象地域は「都道府県知事の意向を尊重」(西村康稔経済再生担当相)し、政府が決める。
鈴木直道北海道知事は札幌市の一時停止を検討する意向を表明。吉村洋文大阪府知事も「大阪市内の受け入れを停止するべきじゃないかと思う」と述べた。大阪府の重症者用ベッドの使用率は44・2%。シミュレーションでは前週比1・5倍のペースで増え続けると、12月上旬に最大確保病床数を上回る。
問題は感染者数が最も多い東京都の扱いだ。小池都知事は、東京が7月の事業開始当初、対象から除外されたことについて「国の施策であって、国の判断で東京都が後から加わることになった」と強調、不信感を示す。菅首相と会談すると報じられた小池氏は、国の費用負担や補償の方針などを確認した上での判断となりそうだ。
西武学園医学技術専門学校東京校校長で医学博士の中原英臣氏は「もちろん東京都もGoToを見直すべきだろう。札幌市や大阪市が予約の一時停止に動いてなぜ東京は通常運転で問題ないのか、納得のいく理由がない」との見解を示す。
元厚労省医系技官の木村盛世氏は、「死亡率の高い他の感染症と違って、新型コロナの場合は人の動きを止めるリスクの方が大きい。東京都を止めれば日本全体の社会経済活動に関わり、五輪開催も夢のまた夢となりかねない」と語る。
政府は停止地域の住民がほかの地域へ旅行する場合は引き続き割引を認める方針だ。前出の中原氏は「受け入れだけ停止して出発は停止しなくてよい医学的な理由は考えられない」と批判的だ。
必要な対策として木村氏は「他の自治体への重症者搬送を可能にしたり、人工呼吸器を扱える医師をかき集めるなど医療態勢の整備が先決だ」と指摘した。
感染防止と経済を両立させる難しい判断が迫られている。