山梨笛吹市職員が上司宅にガソリンを…きっかけは1つの嘘から始まった

ミスが発覚するのを恐れた市職員は、上司宅に火をつけ、殺害してミスをなすりつけようとしていたというのだから、ゾッとする。

上司の自宅にガソリンをまき、現住建造物等放火予備や殺人予備などの罪で起訴され、公判中の山梨県笛吹市観光商工課主査の馬場渉被告(32)が24日、懲戒免職処分となった。

馬場被告は8月28日午前1時20分ごろ、あらかじめ用意していた手カンナで上司宅1階の網戸を切断し、台所に侵入。物音に気付いた上司の奥さんが勝手口をのぞくと、馬場被告が数本の水筒に入れたガソリンをドボドボと床にまいているところだった。

奥さんは慌てて2階で寝ていた旦那を叩き起こし、旦那が2階の窓を開けて「何をやっているんだ」と怒鳴ると、馬場被告は脱兎のごとく、その場から逃げ去った。

馬場被告は事前に所属する観光商工課で保管していた鍵を使って市役所の倉庫を開け、備蓄してあったガソリン8・6リットルを入手。事件当日は夏休みを取るなど、周到に準備を重ね、犯行に備えていた。ただ、点火する道具を持っておらず、チャッカマンは車内に置いたままだった。

事件は、馬場被告がついた1つのウソから始まった。

馬場被告は昨年度から、市の観光客誘致の目玉、富士山と河口湖が一望できる人気スポット「新道峠への展望テラス」の整備事業を担当していた。

「諸手続きや書類などの事務処理がメインで、今年4月から工事に入るため、より詳しい上司が引き継いだ。工事着工にあたっては、環境省から事業認可を得た上で、今年3月末までに自然公園法に関する手続きをする必要があった。馬場はその手続きをうっかり忘れていたのに、上司に『申請書類を出しました』と、ウソの報告をしていたのです」(市関係者)

申請していないことがバレれば工事はストップし、冬季期間中は工事ができないため、11月の完成予定が来年にズレ込んでしまう。そこで馬場被告は「上司の家に火をつければ仕事どころではなくなるから、そのうちに自分が何とかしよう」と犯行を思いついたようだ。

「(馬場被告は)2年間、県の観光事業を担う部署でキャンペーンや宣伝などのノウハウを学び、現在の部署で3年目を迎えたところでした。今年4月、主査に昇格し、他部署から異動してきた上司とは良好な関係でした。個人的な恨みもなく、むしろ仕事ができる上司を頼りにしていて指示を仰いだり、相談を持ち掛けていた。真面目が前面に出ているタイプで、事務手続きを1人で任されていました。ただその真面目さが故に、ミスが発覚するのを極度に恐れたようです。本人は裁判で『なぜそういう行動をしたのか、いまだに自分でも分からない』と言っていた。とにかくミスを隠すのが最優先だったそうです」(総務課人事給与担当者)

素直に謝ればよかったものを、1つのウソが大変な事態を招くことになった。