群馬県が、前橋市の県有施設「群馬県民会館(ベイシア文化ホール)」の廃止を検討する方針を示したことを受け、急きょ立ち上がった二つの市民団体が存続を求める活動を始めた。両団体は「県民会館は芸術・文化活動の拠点だ」と主張するが、山本一太知事は「拠点としての意義が揺らいでいる」として、強硬姿勢を崩さない。【妹尾直道】
議論の発端は、外部有識者でつくる「県有施設のあり方見直し委員会」での検討を基に、県が10月7日に示した中間報告だ。見直し対象の10施設のうち、過半数で廃止の検討が示唆された。1971年に設置された県民会館に関しても「多大な改修費用をかけてまで維持する必要が低い」と指摘し、代替施設として、いずれも高崎市の大規模コンベンション施設「Gメッセ群馬」や「高崎芸術劇場」などが挙げられた。
これに対し日ごろから県民会館を利用する市民らの不満が噴出した。音楽家や建築家、商店街関係者らによる「群馬県民会館を守る会」と、会館を拠点に活動する「前橋第九合唱団」が中心となった「群馬県民会館の存続を願う会」の二つの市民団体が立ち上がり、県議会に請願書を提出したほか、1万人を目標に署名活動を行う。
両団体は存続を求める理由として、長年、県民の芸術・文化活動の拠点となっている▽廃止するとイベント施設が高崎に集中し、地域的な不公平感が生じる▽毎年行われてきたイベントの実施が難しくなる可能性がある▽日本を代表する建築家の岡田新一氏が設計し建築的価値が高い――などを挙げている。
18日に記者会見した箏曲家で「守る会」代表の鈴木創さんは「文化施設は費用対効果で考えるべきではない。文化振興は経済的価値でなく、人間の内面。廃止すれば、群馬県は文化振興や生涯学習に理解がないという誤ったイメージを持たれかねない」と指摘した。
一方、山本知事は25日の定例記者会見で廃止の検討理由を改めて説明。構造上の問題でバリアフリー化や駐車場確保が難しいうえ、耐震改修などに30億円がかかる▽ピーク時より大ホールの利用者が減っている――ことなどを挙げた。
そのうえで山本知事は、「それぞれの地域に施設があり、県民全体の拠点という意識は薄れた。県全体の資産ではなく前橋市民のアセット(資産)だ」と突き放した。県民会館を含む10施設の存廃については、県議会での議論を踏まえた2月の最終報告で示される。