東京メトロ東西線東陽町駅(東京都江東区)で視覚障害者の男性が電車にはねられて死亡した事故で、男性はホームの端で立ち止まることなく線路に転落していたことが警視庁深川署への取材で判明した。当時は反対側のホームに電車が停車しており、同署は電車が到着したと思い込んで乗車しようとした可能性があるとみている。
同署は30日、男性の身元を江戸川区北葛西1のマッサージ師、小池行雄さん(68)と発表した。
事故は29日午後0時45分ごろ発生。ホームの防犯カメラに残っていた映像によると、小池さんは白杖(はくじょう)を持って地下1階の改札階から階段で同2階のホームに下りた後、真っすぐに線路方向に向かって歩き、足を踏み外していたという。当日に現場を視察した東京都盲人福祉協会の市原寛一常任理事(53)は「目の不自由な人にとって、反対側のホームに電車が止まっても、モーター音などから目の前に停車したと勘違いすることは珍しくない」と指摘した。
東京メトロによると、東陽町駅では11月上旬にホームドアが設置されたが、センサーの調整などが済んでおらず、ドアは常時開いた状態だった。事故を受け、同社は稼働開始時期を当初の予定よりも2週間前倒しして来年2月上旬にすることを決めた。
小池さんは4年前から江戸川区で1人暮らしをしながら、練馬区の介護施設でマッサージ師として勤務していた。近所の人には「サラリーマンをしていたが、だんだん目が悪くなった」と話し、弱視だったという。休日は「体がなまるから」とウオーキングに励んでいた。知人の男性(80)は「あいさつをきちんとする真面目な人。ホームドアが早く稼働していれば」と悔やんだ。【鈴木拓也、土江洋範】