横浜市立大の研究チームは2日、新型コロナウイルスに感染した人のほとんどが、半年たってもウイルスの再感染を防ぐ「中和抗体」を持ち続けるとの大規模調査の結果を発表した。
チームは東京、神奈川、大阪の各医師会の後援を得て、感染から半年が経過した回復者を対象に協力を呼び掛けた。619人の応募があり、そのうち10月26日までに血液を採取して測定を終えた376人を解析した。内訳は無症状または軽症が280人、中等症が71人、重症が25人。男女比は半々で、平均年齢は49歳だった。
同チームによると、新型コロナの回復者を一定期間追跡した調査は日本初かつ国内最大規模。また、感染から半年後に計画的に採血をするという測定時期をそろえての研究も初めてという。
その結果、ウイルスの増殖を妨げて再感染を防ぐ「中和抗体」を98%の人が持っており、中等症と重症はいずれも100%だったことが判明。また、中和抗体の働きを示す「活性」を見ると、重症だった人ほど、ウイルスの増殖を阻止する力が強くなる傾向があった。
厚生労働省のホームページによると、麻疹(はしか)は一度感染して発症すると、ウイルスに対する抗体ができ、一生免疫が持続すると言われている。一方、毎年接種者が多いインフルエンザワクチンは、一般的には2週間ほどで体内に抗体が作られて5か月ほど免疫が持続するとされている。各国で開発が続く新型コロナウイルスは、この抗体を体内に作り出させるものだ。
ただ、英の研究チームが7月に65人の感染者を対象に実施した抗体保有調査では、発症から3週間で60%の人が強力な抗体を持つものの、3か月を過ぎるとそれを維持できる人が約17%に減少すると報告。横浜市立大研究チームの後藤温教授(疫学)も「海外では、感染から数か月で抗体が消失するなどとした報告も一部で見られた」と認めた。
一方で「多くの研究は(数か月の間は)9割近くの人に抗体が残るとの結果を示している」とも指摘。今回の調査は海外のものとほぼ一致していることから信頼度は高いとみられ、ワクチン開発につながると期待がかかる。チームは感染1年後の抗体の残り具合の調査も予定している。
◆新型コロナワクチンと抗体 開発が進む新型コロナワクチンはウイルスの遺伝情報などを利用しており、投与された人が持つ免疫機構に抗体を作らせる効果が期待されている。異物に反応する抗体のうち、ウイルスなどを中和して再感染を妨げる力を持つものを「中和抗体」と呼んでいる。ワクチン接種でできた中和抗体が長持ちすれば、発症などを防ぐことができるとされている。