広島県三原市の養鶏場で採卵鶏の死骸が見つかり、県は7日、高病原性ウイルス(H5型)の鳥インフルエンザが検出されたと発表した。県は陸上自衛隊に災害派遣を要請し、同日午前にこの養鶏場と、人の往来があった系列の養鶏場で飼う計約13万4000羽の殺処分を始めた。
鳥インフルエンザは今季既に香川や福岡、兵庫、宮崎、奈良の5県で発生が確認されており広島県で17例目。国内で発生が確認された2004年以降、同県内での確認は初めて。
高病原性ウイルスの鳥インフルエンザが検出された広島県内には緊張が走った。県は計13万4000羽の殺処分と並行し、半径約10キロ圏内に消毒ポイントを設置。関係者らからは不安の声が聞かれた。
「広島県は全国でも有数の鶏卵生産地。厳しい事態だ」。7日未明に県が設置した危機対策本部の会合終了後、湯崎英彦知事は記者団にそう語った。農林水産省によると、2019年に県内で生産された鶏卵は約13万5000トンで全国5位だった。三原市だけでも45カ所の養鶏場で計約76万1000羽を飼育しており、関係者らは固唾(かたず)をのんで事態の推移を見守った。
鳥インフルエンザの発生が確認された養鶏場と人の往来がある系列の養鶏場では7日午前、防護服を着た県職員が殺処分を始めた。
近所に暮らす80代の女性は「こんな近くで感染が確認されるとは……。養鶏場の人は残念だろう」と声を落とした。県養鶏協会(南区)は会員農家に消毒の徹底を通知し、県内で養鶏場を営む50代男性は「どこで発生してもおかしくない。衛生管理をいっそう強化しなければ」と語った。
一方、県は三原市の養鶏場から半径約10キロ圏内にある2市1町の7カ所に消毒ポイントを設置した。感染拡大を防ぐ狙いで、鶏卵や飼料などを運ぶ車両の消毒を24時間態勢で始めた。このうち、せら文化センター(世羅町寺町)では7日午前に畜産関係の車両約20台を消毒したという。防護服姿の県職員はドライバーに積み荷や行き先を聞き取っていた。
この日、危機対策本部の本部長を務める湯崎知事は、県庁で農林水産省の池田道孝政務官と会談。池田政務官は、疫学調査チームの派遣を約束したうえで「国としても全面的にバックアップしたい」と語った。【池田一生、手呂内朱梨、渕脇直樹】